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政府緊急情報は8割近くがOK…ソーシャルメディア上のbotの善悪、アメリカ合衆国の人達の意見をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ botによる情報には警報的なものもある。そのような運用を許容できるか否か。(写真:アフロ)

政府の緊急事態告知botは8割近くが許容

ソーシャルメディア上にあふれるbot(Robotが由来。機械的に情報を生成し、定められた仕組みに従って情報を公開する自動プログラム。あるいは公開された情報そのもの)による情報。人々はどのような性質のものなら許容できると考えているのか。アメリカ合衆国の人達の考えを、同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年10月に発表した調査「Social Media Bots Draw Public's Attention and Concern」(※)の結果報告書を基に確認する。

次に示すのは実際にソーシャルメディア上で利用されているbotに関して、次のような手法ならば許されるのか、その認識を尋ねた結果のうち、許容できるとの回答率が比較的高かった選択肢。無論、ソーシャルメディアにおけるbotを知らなければ判断のしようが無いので、知っている人限定となっている。

↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定)(2018年7~8月)
↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定)(2018年7~8月)

今回抽出した選択肢の中では「政府や公的機関による緊急事態の情報発信」がもっとも高い値を示し、8割近い人が許容している。いわばサイレンやテレビ・ラジオによる緊急情報のようなもので、許されて当然との認識もあるのだろう。

他方、企業による商品宣伝をbotで行なうことについて許容できるとの意見は55%、企業による消費者の質問への回答は53%と、企業によるプロモーション・営業によるbot利用には比較的寛容な結果か出ている。無論実際には内容や手法にもよりけりなのだろうが。今や多くの報道機関は公認のアカウントを持ち、最新情報を逐次流すようになったが、そのような使い道については50%の人が許容できるとしている。

個人による絵や文章の共有は48%。設問では今件で使われる絵や文章に関して、アカウント所有者自身のものか、他人のものかの説明は無い。ただし表現の言い回しやその類のbotの現状を見るに、多分において他人のものの勝手転載を意味すると解釈してよいだろう。それでもなお、5割近くの人が許容しているのは驚きではある。

いくつかを属性別に

続いていくつかの選択肢について属性別の詳細を確認していく。まずはまずは政府や公的機関による緊急事態の情報発信。

↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定、政府や公的機関による緊急事態の情報発信、属性別)(2018年7~8月)
↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定、政府や公的機関による緊急事態の情報発信、属性別)(2018年7~8月)

女性より男性、高学歴ほど高い値を示しているのは、必要性の認識の違いからのものだろうか。とはいえもっとも低い値を示す属性でも7割は超えている。

企業による商品宣伝。

↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定、企業による商品宣伝、属性別)(2018年7~8月)
↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定、企業による商品宣伝、属性別)(2018年7~8月)

企業による商品宣伝では、30~49歳、男性より女性、高学歴ほど高い値。普段から企業宣伝の情報を多く活用しており、恩恵を受けることが多いからかもしれない。

報道機関によるニュースの概略などはどうだろうか。

↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定、報道機関によるニュースの概略など、属性別)(2018年7~8月)
↑ 次のようなソーシャルメディアにおけるbotの使い方は許容できる(アメリカ合衆国、ソーシャルメディアにおけるbotを知っている人限定、報道機関によるニュースの概略など、属性別)(2018年7~8月)

おおよそ5割前後で大きな違いは無いが、30~49歳、女性より男性、高学歴でやや高め。支持政党別では大きな差が生じているが、これは現状のアメリカ合衆国の報道機関が多分に民主党寄りであるからだろう。

結局のところbotは自動的に文章を生成し配信する仕組みに過ぎず、それのよし悪しは使い方や内容によるところが大きい。今回挙げた事例は、現状では比較的許容された使い方であると認識してよいだろう。無論、中身によっては非難されても仕方が無いものもあるのだが。

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※Social Media Bots Draw Public's Attention and Concern

Pew Research Centerの調査パネルATP(American Trends Panel)によって行われたもので、調査実施期間は2018年7月30日から8月12日。有効回答数は4581人。ATPはRDDで抽出された固定電話と携帯電話番号への通話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して応募が行われたもので、国勢調査の結果でウェイトバックが実施されている。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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