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五輪ゴルフ、最終日最終組で回る松山英樹は「気力」で金メダルを獲りに行く

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:ロイター/アフロ)

五輪ゴルフに日本代表として出場している松山英樹が、首位と1打差の単独2位で明日の最終日を迎える。

単独首位に立っているのは、米国代表のザンダー・シャウフェレ。3日目の最終ホールでピンそばにピタリと付けたシャウフェレは、通算14アンダーで54ホールを終えた。

前半で3つスコアを伸ばした松山は、後半はなかなかスコアを伸ばせなかったが、17番でようやくバーディーを奪い、この日は5バーディー、1ボギーの4アンダー、67で回り、シャウフェレとは1打差の通算13アンダー、単独2位で、メダル獲得に一番近い最終日最終組でプレーする。

すでに米ツアーで百戦錬磨の松山にとって、最終日最終組は珍しいことではない。しかし、会見場にやってきた松山は、開口一番、「最終日最終組で回ることが決まったけど、まだ頭が整理できていない」と語った。

それは、想像以上のことができていて、松山自身が少々驚いていることを物語っていた。

7月上旬にコロナ陽性の判定を受け、10日間以上の隔離生活を送っていたときは、東京五輪で最終日最終組を迎えることは「まったく信じられなかった」と松山は明かした。

霞が関CCは連日の酷暑で、健康な人間でも体力的に厳しい状況だ。ましてや、コロナ感染後で隔離生活後で、いきなり五輪を迎えている松山にとっては、体力的な厳しさは限界に近い状態なのかもしれない。

だが、エクスキューズをしないのが松山である。

「体力的にしんどい部分はある。明日1日だけでも、もってくれたらいいなと思う」

「暑いのは、みな一緒。体調が戻り切っていないので、しんどいですけど、それは言い訳にしかならないので、明日、いい位置で終われるように頑張りたい」

初日は後半に失速気味になり、不満顔で終えた。2日目はスコアを伸ばして一気に優勝争いに絡む位置へ浮上したが、ティショットの際に何度もテークバックの途中でスイングを止めて仕切り直しする仕草が気がかりだった。3日目もショット後に手を離したり、不安そうに見詰めたりもあった。

チーム・ジャパンの丸山茂樹ヘッドコーチは「まだ上体と下体のバランスは良くないままだと思うけど、バランスが悪い中で、試行錯誤しながら、なんとか許容範囲に収めようとしている」と見ている。

松山自身、最終日最終組に入ったことは「どうしてかわからないけど、日本でやっているから、上手くいっているのかな」と首を捻りながら答えた。

母国開催。かつて勝利を挙げた相性のいいコース。そういう条件や環境の影響もあるにはあるが、「明日1日だけでも、もってくれたらな」の一言が、今の松山のすべてを物語っている。

松山の拠り所は「気力」だ。体力も限界に近く、技術的な試行錯誤も続く中、明日の18ホールを乗り切る拠り所は「気力」だ。

松山英樹は気力で、明日、日本初のゴルフの金メダルを獲りに行く。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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