北朝鮮がICBM「火星18号」に続き、アラスカを狙った固体燃料用「新型中距離弾道ミサイル」を発射か!
防衛省と韓国合同参謀本部の発表によると、北朝鮮が今日午後に弾道ミサイルを1発発射した。
防衛省の発表では発射時間は午後2時時53分頃で、北朝鮮内陸部から発射され、最高高度は約50km程度以上で、少なくとも約500km飛翔し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下している。
韓国合同参謀本部は高度や飛行距離をまだ明らかにしていないが、ミサイルの種類については早々と新型の「中距離級弾道ミサイル」と推定している。
いずれにせよ、北朝鮮のミサイル発射はこれが今年初めで、昨年は元旦から短距離ミサイル(SRBM)を発射していた。この時は、北朝鮮は「人民軍西部地区の長距離砲兵区分隊が、引き渡された超大型放射砲1発を日本海に向けて発射した」と伝えていた。最高高度は約100kmで、飛翔距離は350km~400kmあった。
北朝鮮のミサイル発射は昨年12月18日に固形燃料を使用した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」をロフテッド(高角度)で発射して以来、27日ぶりある。
「火星18号」は北海道の奥尻島の北西約250kmの日本海、EEZ外に落下したが、防衛省は当時、「約73分飛翔し、飛行距離は1000kmで最高高度は約6000kmを越える」と推定していた。
一方、北朝鮮は発射の翌日、「ミサイルは最大頂点高度6518kmまで上昇し、距離1002.3kmを4415(73分58秒)秒間飛行して朝鮮東海(日本海)の公海上の目標水域に正確に着弾した」と発表していた。
「火星18号」をロフテッドでなく、正常角度(30~45度)で発射すれば、飛距離は15000kmに達し、距離的には米本土に届く能力を有することが裏付けられた。
韓国国防部の申源湜(シン・ウォンシク)長官は今月10日、韓国の「聯合ニュース」とのインタビューで昨年11月に2回、エンジン試験を行った新型中距離弾道ミサイル(IRBM)の発射実験を北朝鮮が「早ければ今月中に行う可能性がある」と予想していた。
北朝鮮は昨年11月11日と14日に新型中距離ミサイル固体燃料エンジン実験を行っていた。1回目は1段目のエンジン地上噴出試験で、2回目は2段目の試験でいずれも「満足いく結果だった」と発表していた
この固体燃料エンジン試験について北朝鮮のミサイル総局は「敵の軍事的共謀結託策動が一層悪辣に行われる軍事情勢に備え、共和国の武力の戦略的攻撃力をさらに高めるための必須工程であった」と主張していた。
現在、北朝鮮が保有している中距離弾道ミサイルは米国領、グアムや沖縄の嘉手納に向けられた「火星12号」(全長約17m、直径約1.7m)のみだが、液体燃料が使用される「火星12号」は1段式ミサイルである。
「火星12号」は2017年5月14日に初めて北西部の平安北道・亀城からロフテッド軌道で発射された際に最大高度2111km、飛翔距離787km、30分飛行し、日本海に着弾していた。正常角度ならば飛行距離は4500~5000kmと推定され、グアム(平壌から3500km距離)を完全に射程圏内に収めていた。
それが、2段式となると、さらに飛距離が伸び、平壌から約6000kmの距離にあるアラスカに届くことになる。
ちなみに、北朝鮮が固体燃料を使用できるミサイルはロシア製「イスカンデル」に類似した短距離戦術誘導ミサイル「KN-23」と米国製の「ATACMS」と外形が似ている「KN-24」、及び600mm砲の「KN-25」など短距離ミサイル(射程300km~1000km)と潜水艦弾道ミサイル「北極星1号」を地上型に改良した「北極星2号」、それに「火星18」に限られている。
北朝鮮はありとあらゆるミサイルを液体燃料から固体燃料にシフトする計画であり、2021年1月に党大会で打ち出した国防発展計画5か年計画の中には「水中・地上固体エンジン大陸間弾道ミサイルの開発事業を計画通り進めること」が盛り込まれている。
韓国軍は北朝鮮が昨年11月22日夜に平壌近郊から発射し、失敗した弾道ミサイルが新型中距離弾道ミサイルであると推定していた。
仮に今日発射されたミサイルが新型中距離弾道ミサイルならば、北朝鮮は再度チャレンジしたことになる。