北朝鮮の新型中距離弾道ミサイルの標的はアラスカ!固体燃料エンジン燃焼実験の成功で2~4か月内に発射
北朝鮮が新型中距離弾道ミサイル(IRBM)に搭載する固体燃料エンジンの燃焼実験に成功したことで早ければ年内にも新たに開発した中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射する可能性が高まった。
北朝鮮は2016年には3月24日に大出力固体ロケットエンジン地上噴出実験を、4月9日には新型のICBM大出力エンジン噴出実験を行ったことがあるが、金正恩(キム・ジョンウン)総書記はいずれの実験にも立ち会い、3月の時は「6か月という短い期間でそれも1度で成功させる奇跡を起した。これにより敵を無慈悲に狙撃できる弾道ロケットの威力を高めることができた」と述べ、4月の時は「新たな大陸間弾道ロケットにより強力な核弾頭を装着して核攻撃を加える確固とした担保を手にした」と語っていた。
この年は9月20日にも新型停止衛星運搬ロケット用エンジン地上噴出実験を行っていたが、こうした実験を背景に金総書記は翌2017年1月の新年辞で「ICBM試験発射準備事業が最終段階に入った」と予告し、3月18日に新型大出力エンジン地上噴出実験を行い、成功させていた。
そして、約2か月後の2017年5月14日にIRBM級弾道ミサイル「火星12号」を皮切りに7月にはICBM級弾道ミサイル「火星14号」、そして12月には大陸間弾道ミサイル「火星15号」の発射を立て続けに成功させていた。
この年は潜水艦発射弾道ミサイル「北極星1号」(全長約7m、直径約1m)を地上型に改良した「北極星2号」(全長9~12m)の発射も2月と5月に2度行っていたが、二段式の「北極星2号」にはすでに固体燃料が使われていた。
また、直近では2022年12月15日に金総書記立ち合いの下、大出力固体燃料エンジン(140tf)の地上噴出実験が行われ、金総書記は「武器体系5か年計画の戦略兵器部分の最優先5大課業の一つである重大問題を解決した」と胸を張っていた。北朝鮮が固体燃料を使用した新型ICBM級弾道ミサイル「火星18号」を発射したのは約4か月後の今年の4月13日であった。
北朝鮮は「北極星2号」や「火星18号」以外にもすでに戦術誘導ミサイルなど短距離ミサイルに固体燃料を使用しているが、一段式の中距離弾道ミサイル「火星12号」(全長約17m、直径約1.7m)は液体燃料が使用されている。
「火星12号」は2017年5月14日に初めて北西部の平安北道・亀城からロフテッド軌道(高角度)で発射された際に最大高度2111km、飛翔距離787km、30分飛行し、日本海に着弾していた。
正常角度ならば飛行距離は4500~5000kmと推定されていた。ICBMには届かないが、IRBMとしてはかなりのもので、グアムを完全に射程圏内に収めていた。
この年は8月29日(最高高度約550km、飛翔距離約2700km)と9月15日(最高高度約800km、飛翔距離約3700km)にロフテッドではなく、正常角度から発射され、北海道上空を通過したため全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴っていた。
「火星12号」は昨年も1月30日(最高高度約2000km、飛翔距離約800km)と10月4日(最高高度約1000km、飛翔距離約4600km)に2度発射されている。二度目は青森を通過するため日本政府は青森と北海道を対象にJアラートを鳴らし、住民に避難を呼びかけていた。
当時、北朝鮮は「日本列島を横断させ、4500kmの太平洋上の設定された目標水域を打撃する訓練だった」と発表し、この「火星12号」が新型地対地中距離弾道ミサイルだったことを明らかにしていた。
北朝鮮の発表では今回の固体燃料エンジン試験は新型中距離弾道ミサイル用で、それも二段式のようである。当然のごとく距離は伸びるものと推測される。
戦略爆撃機「B-52H」などが配備されているグアムは平壌から約3500kmの距離にあるが、アラスカまでは約6000kmもある。アラスカには地上発射型ICBM迎撃システムが配備されている。
北朝鮮が完成させたとみられる新型中距離ミサイルがニ段式ならば、グアムではなく、アラスカに標準を合わせている可能性が大だ。