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バニラエア、運航最終日の成田空港での1日を追った。最後は看板を外して歴史に幕

鳥海高太朗航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師
成田空港からの最後の出発便の後、カウンターを閉鎖時に社員全員で一礼(筆者撮影)

 LCC(格安航空会社)のバニラエアは、2019年10月26日に約5年10ヶ月間の運航を経て、バニラエアにとっての運航最終日を迎えた。同じANAグループのLCCであるピーチと経営統合をしたことで10月27日からはピーチ便として運航される。バニラエアの運航最終日を時系列と共に成田空港での最後の1日を追った。

 これまで約半年間に渡り、ラストフライトへ向けた社員一丸となったイベントを開催してきた。これまでのラストへ向けたイベントは先日掲載した記事をご覧いただきたい。

関連記事:バニラエア運航終了まであと4日。社員一体のラストイベントが進行中。こんなに明るいラストは見たことない(2019年10月22日掲載)

 バニラエアは2014年12月20日に運航開始以来、約5年10ヶ月の間に約1130万人(国内線約630万人、国際線約500万人)、約7万5000便(国内線約4万2500便、国際線約3万2500便)を運航し、10月26日にラストフライトを迎えた。ピーチへの路線移管が先行して今年6月より始まっていたが、最後までバニラエアの路線として運航したのは、成田~台北と福岡~台北の2路線だった。

■11時00分

成田空港を最後に出発するのが、13時00分発のJW103便台北行き。成田空港第3ターミナルのバニラエアのチェックインカウンターでは最後のチェックインが始まった。日本人、台湾人が半々の感じだった。

バニラエアのチェックインカウンター。最後のチェックインが始まる(筆者撮影、以下全て)
バニラエアのチェックインカウンター。最後のチェックインが始まる(筆者撮影、以下全て)
出発案内版。この便が最後の成田発のフライトになる
出発案内版。この便が最後の成田発のフライトになる
チェックインカウンターのボードにメッセージを書き込む乗客
チェックインカウンターのボードにメッセージを書き込む乗客

■12時10分

搭乗ゲート前でイベントがスタート。社長、パイロット、客室乗務員、整備士からの挨拶の後、バニラエアの運航開始時に社員全員でバニラアイスで乾杯していたことから、成田発のラストフライトは乗客全員とバニラアイスで乾杯した。

バニラアイスで乗客と共に乾杯
バニラアイスで乗客と共に乾杯

■12時40分

台北行きのラストフライトとなるJW103便の搭乗が開始。バニラエア社員が人間アーチでお客様をお見送りした。13時02分に169名の乗客を乗せて出発した。

台北行きの搭乗の際には、ランプエリアにバニラエアの社員が集まった
台北行きの搭乗の際には、ランプエリアにバニラエアの社員が集まった
社員による人間アーチで最後の便の乗客が搭乗
社員による人間アーチで最後の便の乗客が搭乗
今までにない搭乗の光景だった
今までにない搭乗の光景だった
滑走路へ向けて移動するバニラエア機をお見送り
滑走路へ向けて移動するバニラエア機をお見送り

■13時30分

バニラエアの井上慎一社長、バニラエア社員がチェックインカウンターに集まり、チェックインカウンター閉鎖に際し、社員全員で一礼(冒頭の写真)。その後記念撮影が行われた。涙ぐむ社員も多く見られた。

バニラエアのチェックインカウンター前で記念撮影
バニラエアのチェックインカウンター前で記念撮影

■18時19分

成田到着便としては最後となる台北からのJW106便(乗客166名)が成田空港に到着した。第3ターミナル前のオープンスポットでバニラエア社員が出迎えた。

台北からのJW106便が成田空港に到着
台北からのJW106便が成田空港に到着
オープンスポットのゲートにスポットインした
オープンスポットのゲートにスポットインした

■18時20分

乗客の降機が開始。バニラエアカラー(イエロー、ブルー)のサイリウムで出迎えた。到着スポット前では降りてきた乗客とバニラエア社員が熱烈に出迎え、歓声が沸くと共に、ラストフライトに搭乗した最後に飛行機を降りたバニラエアのファンは、手作りの横断幕を持って降りてきた。最後にターミナルへ向かうバスが出発する際にはバニラエアの社員が大きく手を振ってバスを見送った。

バニラエアカラー(イエロー、ブルー)のサイリウムでお出迎え
バニラエアカラー(イエロー、ブルー)のサイリウムでお出迎え
乗客の降機が始まり、バニラエアの社員が熱烈に出迎えた
乗客の降機が始まり、バニラエアの社員が熱烈に出迎えた
バニラエアのファンは手作りの横断幕を持って降りてきた
バニラエアのファンは手作りの横断幕を持って降りてきた
最後はバニラエア社員で乗客が乗車するバスへ向かって手を振った
最後はバニラエア社員で乗客が乗車するバスへ向かって手を振った
成田へのラストフライトとなった台北からの便を運航したパイロットと客室乗務員
成田へのラストフライトとなった台北からの便を運航したパイロットと客室乗務員

■20時14分

福岡空港に台北からのバニラエアの最終便となるJW158便(乗客169名)が到着し、全ての便の運航が終了した。

■20時15分

20時より、役目を終えた成田空港第3ターミナルのチェックインカウンターの撤去作業が開始。2013年12月20日に運航開始し、2015年4月8日に第3ターミナルがオープンした際から設置されていた案内ボードが次々と取り外された。20時15分、最後に最終日にお客様の惜別メッセージが書かれたボードが取り外され、バニラエアの歴史に幕を閉じた。筆者も会社設立時から取材してきたなかで案内ボードを取り外した時が最も寂しさを感じたときであった。

看板の取り外しが始まった横でスタッフが記念撮影していた
看板の取り外しが始まった横でスタッフが記念撮影していた
一番目立つ案内版も取り外された
一番目立つ案内版も取り外された
最後にバニラエアのファンのメッセージが書かれたボードが取り外され、バニラエアは幕を閉じた
最後にバニラエアのファンのメッセージが書かれたボードが取り外され、バニラエアは幕を閉じた
案内版が取り外されたバニラエアのチェックインカウンター
案内版が取り外されたバニラエアのチェックインカウンター

 案内ボードがなくなったバニラエアのチェックインカウンターは、10月27日よりピーチのカウンターとなる。バニラエアの歴史は終わったが、バニラエアのDNAはピーチにも、きっと受け継がれることだろう。

航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

航空会社のマーケティング戦略を主研究に、LCC(格安航空会社)のビジネスモデルの研究や各航空会社の最新動向の取材を続け、経済誌やトレンド雑誌などでの執筆に加え、テレビ・ラジオなどでニュース解説を行う。2016年12月に飛行機ニュースサイト「ひこ旅」を立ち上げた。近著「コロナ後のエアライン」を2021年4月12日に発売。その他に「天草エアラインの奇跡」(集英社)、「エアラインの攻防」(宝島社)などの著書がある。

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