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妻の働き方で夫婦間の家事分担はどれだけ変わるか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 洗面所の掃除も大切な家事の一つ

比率・世帯数共に増加中の共働き世帯では、夫婦間の家事分担が大きな課題となる。主婦の就業時間が長く、負担が重くなるほど、家事の負担が重圧としてのしかかるからである。それでは現在、妻の就業状況次第で妻と夫の家事分担には、どれほどの差が出るのだろうか。国立社会保障・人口問題研究所が2014年8月に発表した「全国家庭動向調査」の結果から、その実情を確認していくことにする。

物理的な時間上の制約もあり、主婦の就業スタイル別では当然就業時間が長いスタイルの方が、家事の時間は短くなる。一方、その不足分を休日に補完する動きも確認されている。

↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平均・分)(平日)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平均・分)(平日)

出来れば夫に少しでも家事(育児は含まず)の手伝いをしてもらい、負担を軽くしたい、家の中の家事をしっかりとしておきたいとの気持ちを主婦が持つのも当然。その実態が次のグラフ。

↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2013年)
↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2013年)

いずれの就業形態でも、妻が主に家事を担当するタイプ(高負担タイプ、グラフ中赤系統の部分、8割以上)は比較的高い比率を示している。しかし専業主婦、自営・家族従業、パートの場合は高負担タイプが6割超えだが、常勤の場合は5割足らずに留まっている。物理的な時間の問題、そして妻が常勤で働く状況であらかじめ夫婦間で家事分担の取りきめなとがしっかりとなされているパターンが多いようだ。

一方、真赤の部分、つまり「夫は家事においてはノータッチ」の世帯も少なくない。いずれも1割足らずだが、常勤主婦ですら5.6%は「全部の家事が妻担当」(育児は該当しないことに注意)との結果が出ている。また妻の常勤も一日8時間フル勤務では無く、例えば半日のみという事例もあろう。それでもなお、常勤で家事も全部担当するというのは、辛い感は否めない。

参考までに5年前に実施された前回調査の結果は次の通り。直近の2013年調査結果が前回分から大きく変動していることが確認できる。

↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2008年)(参考)
↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2008年)(参考)

一目で分かるように、明らかに赤色の度合い、つまり妻が高負担の割合が2013年では2008年と比べて減っている。中でも「全部家事は妻任せ」を意味する100%の項目が大きく減り、夫が2割から4割を担当する「60%から79%」の項目回答者率が大きく上昇している。この5年間で夫の家事分担の意識が相当進んだことがうかがえる。啓蒙の効果、そして妻の労働時間が伸びて夫の分担率上昇が必要不可欠になったのも一因だろう。

実際には個々の世帯毎で細かな状況・環境の違いもある。夫も夫で毎日深夜まで働き、帰りが遅くなり、家事までとても手掛けられないかもしれない。とはいえ、例えばゴミ出しや食後の後片付けくらいは、時間が無くとも出来るはず。夫の配慮、気遣いが、妻の負担を大きく軽減すると考えれば、多少の面倒くささなど吹き飛んでしまうに違いない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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