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菅政権の内閣官房参与にもリフレ派が任命される

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 加藤勝信官房長官は13日の記者会見で、宮家邦彦・立命館大客員教授、高橋洋一・嘉悦大教授ら6人を内閣官房参与に任命したと発表した。宮家氏は「外交」、高橋氏は「経済・財政政策」を担当する。このほかに任命されたのは、「感染症対策」で岡部信彦・川崎市健康安全研究所長。「経済・金融」で熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミスト。「産業政策」で中村芳夫・経団連顧問。「デジタル政策」で村井純・慶応大教授。いずれも13日付(13日付朝日新聞)。

 この発表を受けて、市場ではやや動揺というかさざ波が立った。それはいわゆるリフレ派を代表すると思われるひとり、高橋洋一氏の名前が挙がったためである。

 リフレ派といえば、安倍政権時代にも内閣官房参与に浜田宏一氏や本田悦朗氏がやはり任命されていた。いわば高橋洋一氏はこの両者の後任のような格好となるのか。

 2012年末の衆院選での自公圧勝による安倍政権の誕生とともに生まれたアベノミクスと呼ばれた政策には、当然ながら高橋洋一氏らのリフレ派の考え方が採られていたとみられる。

 その安倍政権の官房長官となったのが、現在の菅総理であるが、すでに当時から菅官房長官と高橋洋一氏は頻繁に会っていたとみられている。この意味でもアベノミクスには菅官房長官を通じて高橋洋一氏が絡んでいた可能性は十分に考えられる。

 ただし、現在のリフレ派、特に高橋洋一氏は、日銀の異次元緩和でも物価が予定通りに上がらなかったのは、消費増税の影響であると主張している。それでも安倍政権時代に消費増税は延期はあったものの2度行っていた。

 菅氏が自民党総裁になった際にも将来の消費増税に言及はしていた。このあたり、麻生副総理兼財務相の影響力などもあったのかもしれないが、少なくとも消費減税に言及することはなかった。

 そうはいっても菅政権は安倍政権を引き継ぐと主張し、それは金融財政政策も同様ということになり、さらにリフレ色を強める可能性もある。

 すでに日銀は大規模の金融緩和策を7年に渡り続けている。まだ緩和の余地はあると黒田日銀総裁は主張するが、それは現実には限られたものとなろう。金融緩和の限界が見えてきたなかで、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響も大きくなり、その対応は財政に主軸が移っている。2020年度の歳出規模はすでに補正を含め、160兆円にも膨らんでいる。これは一時的なものとなるとはどうも言えなくなってきたようにも思われる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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