テスラモーターズの高速道路でのすごさは、実は「眠くならない」ことだった
テスラモーターズ。
世界でも数少ない電気自動車専業メーカーとして、その名前を知っている人も増えていると思います。しかも、ここにきて、テスラモーターズ(以下、テスラ)初のSUVである「モデルX」が米国では納車開始。
さらに、現在の主力車である「モデルS」になんとアップデートで、限定的ではあるものの、自動運転機能を追加するという、これまでの自動車メーカーでは、想像もできないことをやってきています。
さて、そのテスラのモデルS。なにかというと、その電気自動車であるが故の強烈な加速力が話題になっています。その加速力はモデルによって、多少の差はあるものの、これまでの自動車では、いわゆるスーパーカーと呼ばれるような超高級車でないと実現できないようなものです。
ただですね、そんな加速力普段の生活で使う場面なんてそんなにないですよね。高速でも、そんな加速はよっぽどでもないと使わないですよね。だとすると、知りたいのは、テスラを普通に運転したときに、どうテスラはすごいのか?ってことなんです。
てなことを思っていたところ、テスラさんから「それならお前泊まりで乗ってこい」という素敵なお話をいただきまして、都内から福島県いわき市まで、往復400km強のドライブに出かけました。
諸事情があり、フル充電の状態で都内を出ることができなかったのですが、今時の高速のPA / SAには大抵電気自動車用の充電ステーションは配備されています。
もちろん、それでも気になるみなさんには、ちゃんとネットに情報出てますので、EVsmartのWebを見るとか、検索アプリなんていうのもリリースされていますので、ご安心を。なお、私は守谷SAと友部SAの充電ステーションを利用しましたし、通りかかったいわきのハワイアンズにも充電ステーションはありました。
で、今回のメインの話は充電の話ではないので、話を先に進めます。首都高を抜けて、常磐道に入り、快適にドライブを続け、あれ?なんかおかしいな?なんかいつもと違うな?という異変に気づいたのは、たぶん守谷SAを過ぎてからぐらいのことだと思います。
普段いわきまで行くときは、基本守谷SAと友部SAに寄って、休憩を取ります。その理由は、疲労回復ですが、それ以上に死活問題なのが、眠気対策です。要するにスタバによって、濃い目のコーヒーを補給します。常磐道は、まっすぐな道が多く、基本あまり混まないので、どうにしても少し眠気を誘うところがあるんですよ。
ところがです、テスラでいわきに向かったこの日はいつになっても、ちっとも眠くならない。守谷SAでは、いつもどおりにコーヒーを補給しましたが、あまりにも眠気がやってこないので、この日はうっかりラーメンも食べてしまいました。
用事を済ませて帰り道、行きの眠気のなさはなにか偶然だったのではないかと考えて、コーヒーも買わずに出発しましたが、やっぱり眠くならない。これはどうかしてる。これはテスラのおかげとしか思えないわけです。
では、普通のガソリン車と今回のテスラで、とりあえず話を常磐道にしぼりますが、いったいなにがどこが違ったのでしょうか?
それはテスラでこれまでのアップデートされ続けてきたクルーズコントロールの存在です。
テスラ・モデルSをお借りする際に、いちばん入念に説明を聞いたのが、このクルーズコントロールでした。クルーズコントロールの操作は、ハンドルの左裏のウインカー&ワイパーレバーの下にあるもう1つのレバーで行います。
通常クルーズコントロールといえば、スピードのコントロールです。つまり、時速◯◯km/hと一度設定すれば、そのスピードを維持するというものです。登り坂になれば、自動的にパワーを供給して、スピードを維持するというわけです。
ところが、現在のテスラのクルーズコントロールは、さらに車間距離の設定までします。設定した車間で前を走っているクルマを追いかけていく追尾式のクルーズコントロールです。
そして、追尾式ということは、前のクルマが減速すれば、自分のクルマも自動的に減速しますし、前のクルマが加速すれば、自分のクルマも設定したスピードの範囲内で自動的に加速してくれるのです。車間距離の設定を変更することで、自分にとって心地いい距離を選択もできるというわけです。
高速道路の運転は、基本に前方のクルマを注意することの継続です。この注意を自動化してくれるのが、テスラのクルーズコントロールなのです。
で、正直自分で運転するまでは、このクルーズコントロールを使うと、運転をクルマ任せにしてしまうということになるので、それでいいんだろうか?とか思っていたわけです。もっというと、こんな楽なクルーズコントロールなんて使ったら、あっという間に眠たくなってしまうんじゃないかと予測していたのです。
ところが、テスラによる長距離ドライブの結果は、その予測の正反対でした。
クルーズコントロールの利点は、まずは運転が楽になるというところです。でも、テスラは車間を自動調整してブレーキまでしてくれるので、安心感が得られます。で、その安心感がドライバーの緊張感を取り除いてくれているようなのです。高速道路の運転での眠気には、緊張感の影響があることは広く知られていますよね。
もちろん、これは個人的な感想でしかありませんし、なにか科学的な根拠があるわけではないです。でも、ホントにびっくりしました。そして、こんなにストレスレスに運転ができるなら、電気が続く限り、私はテスラでどこまでも行けるという感想を持ちました。
いわきからの帰り道、私はなぜテスラは電気自動車を作ったのだろうか?ということを考えていました。ひとつは環境問題です。でも、それだけではなにかが足りません。
でも、ほぼ3日テスラを運転してはっきりわかったのは、テスラはとにかく自動車のすべてを制御したいクルマなんだということです。
今のテクノロジーで、自動車の制御を行うためには、電気自動車を選ぶのが最善というだけなんだと思います。だから、テスラは別に電気自動車を作りたかったわけではなくて、自動制御できるクルマを作りたかったので、結果として電気自動車になったということなんだと思います。
すべてを制御したい、その思想はなにも自動運転という大きな問題だけにとどまっていません。テスラでホントに感心したのは、クルマが運転以外の仕事もしてくれることです。
それは、例えばシートポジション。テスラに乗るときには、パーソナライズという儀式があります。その過程で、テスラはシート・ハンドル・ミラーの位置を記憶してくれます。
だから、テスラに「これからおれが乗るぞ!」ということを教えてあげれば、一発ですべてが自分のポジションに戻してくれるわけです。
さらに、制御はクルマの外とも連携します。
上の画面は、テスラの車高の調整画面です。ここに見慣れない「車高車高オート上昇場所」という項目があります。これ意味がわからないと思います。この機能、実はGPSと連動して、記憶した場所にクルマが到着すると、自動的に車高を最適な高さに自動調整してくれるのです。
これは、例えば自宅の駐車場に入る時、段差がある場合なんてある場合なんてありますよね。その段差を乗り越えるために、車高が高くなるといいわけです。でも、そんなのめんどくさいからやりませんよね。だから、自動化すべきだとテスラは考えるわけです。
テスラは、大きいクルマです。だから、日本の駐車場では厳しい場面も正直あります。でも、入ることがわかっている駐車場では、停めにクルマではありません。なぜなら、クルマの外側には多くのセンサーがついていて、ちゃんと警告をしてくれるからです。
クルマを巡る環境は、水素や自動運転など、この先どんどん変化していくことが予想されています。
しかし、テスラモーターズの「人がすべきことは人がやって、クルマがやればいいことは、クルマに仕事にさせればいい」という考え方には、とても共感しました。
さあ、テスラは今後どういったアップデートをしていくのでしょう。それがとても楽しみです。