ヘレン・ミレンがホロコースト生存者を紹介「AnneFrank: Parallel Stories」
第2次大戦時にナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。そのホロコーストの象徴的な存在として日本でも有名なのがアンネ・フランクだろう。ナチスからの迫害を逃れるためにアムステルダムの隠れ家に身を潜めて生活をしており、その時の生活をアンネが日記に記していた。密告され、フランク一家は強制収容所に送られて、アンネは収容所で死亡したが、戦後生き残っていた父オットーが「アンネの日記」として出版し、今でも世界中で読み継がれている。アムステルダムにあるアンネ・フランクの家は博物館として世界中からの観光客が訪れている。
2019年に製作されたドキュメンタリーフィルム「AnneFrank: Parallel Stories」が2020年7月から英国のネットフリックスでも公開された。女優のヘレン・ミレンがアンネの家を訪問してアンネの人生を紹介する以外にも、アンネと同じようにナチスドイツに迫害されて、戦後も生き延びたユダヤ人5人を訪問して、彼女らが当時の話を振り返るドキュメンタリー。ナチスドイツ時代に収奪されたグスタフ・クリムトが描いた「黄金のアデーレ」をオーストリア政府から奪還する映画「黄金のアデーレ 名画の帰還」でヘレン・ミレンは主人公を演じていた。アンネ・フランクも生きていたら91歳。アンネ以外にもホロコーストの生存者は多くいたが、戦後75年が経過し、多くが他界してしまったり、体力や記憶力が低下している。
進む記憶のデジタル化
現在、欧米やイスラエルではホロコースト時代の記憶のデジタル化を積極的に推進しており、このドキュメンタリーフィルムでも高齢のホロコースト生存者に当時の体験を語ってもらい、世界中に発信している。いずれホロコースト生存者もゼロになってしまうため、これから10年が最後のチャンスであることから、欧米やイスラエルのホロコースト博物館やヤドバシェムなどでは積極的にホロコースト生存者らの体験や記憶のデジタル化を進めている。
またアマゾン・プライム・ビデオやネットフリックスなどグローバルに展開されている動画配信サービスでは、ホロコースト関連の映画やドキュメンタリーを多く配信している。日本人にはあまり馴染みがないので興味ないから視聴しないという人も多いかもしれないが、欧米では毎年、ホロコーストをテーマにした映画が製作されており、世界中の多くの人が観覧している。多額の製作費をかけても需要がある。さらに欧米やイスラエルでは学校教育でもホロコースト教育が行われており、教育用の教材としても多くのホロコースト生存者のインタビュー動画やホロコースト関連の映画が活用されている。
▼「AnneFrank: Parallel Stories」オフィシャルトレーラー
▼「黄金のアデーレ 名画の帰還」 (アマゾン・プライム・ビデオで視聴できる)