進化した国産ファイターがデビュー、新型「GSX-S1000」の実力はいかに!
欧州仕様と同等スペックに
スズキから新型「GSX-S1000」が登場。8月4日より国内発売された。
GSX-S1000は2015年に初代がデビュー。スズキが誇るスーパースポーツ、GSX-R1000をベースに開発され、アグレッシブな走りが魅力のストリートファイターとして人気を博してきた。2代目となる新型GSX-S1000は扱いやすさとスポーツ性能の高さを継承しつつ、アグレッシブかつ前衛的なデザインを採用したという。
エンジンの出力向上や電子制御システム「S.I.R.S.」を新たに搭載することで、より扱いやすくスポーティなライディングを進化。すでに6月より発売されている欧州仕様と同等のスペック・装備であることも魅力だ。価格は143万円(消費税込み)となっている。また、初代ではフルカウルを装備し長距離ツーリング性能を高めた「GSX-S1000F ABS」も同時発売されたが、今回こちらの仕様についてのアナウンスはないようだ。
初代は名機K5由来のまさに「猛獣」だった
初代GSX-S1000は「狩りをする野獣」をコンセプトにデザインされた野性味あふれるスタイルにK5の型式で呼ばれる名機、2005年型GSX-R1000の直4エンジンを搭載していたことで話題に。
なぜK5かというと、GSX-Rシリーズ随一のロングストロークエンジンで、低中速トルク型にふった出力特性がストリートでの扱いやすさや常用域でのパワフルな加速に直結していたからだ。つまりは都市型戦闘機、生まれながらのストリートファイターだったわけだ。
当時箱根のワインディングでメディア試乗会が行われたが、猛獣が唸るような排気音と、スロットルを開けるだけで強烈な加速Gとともにフロントが浮き上がってくる過激なパワーに圧倒された記憶がある。
その一方で、クラッチを握らずともワンプッシュでエンジン始動が可能なシステムや、半クラ時に自動的にエンジン回転数を高めてエンストを防止するアシスト機構を新たに採用。上り坂での発進やUターン時の安心感を大いに高めてくれるなどライダーフレンドリーな部分も大事にしていた。
電制を投入、出力も150psにアップ
新型ではまずスタイルが大きく変わった。従来の筋骨隆々とした有機的フォルムから一転して直線基調のシャープなデザインへと見直されている。これは昨年登場したアドベンチャーツアラー、新型Vストローム1050にも共通するコンセプトと言える。ヘッドライトもLED化とともに縦2段が印象的なヘキサゴン形状となり、フェイスもコンパクト化されマス集中が一層進んだ。
最高出力もユーロ5に準拠しつつ148psから150psへとアップ。新たに電子制御システムS.I.R.S.(スズキインテリジェントライドシステム)が搭載され、電制スロットルによる3種類の走行モードや5段階のトラコン設定により、多様な走行シーンに対応する扱いやすさと利便性が向上。シフトアップ&ダウンに対応するクイックシフターやスリッパークラッチも標準装備されるなど快適性や安全性も高められている。
さらにアルミハンドルバーはよりワイド化されて積極的なライディングに対応。従来のブレンボ製ラジアルマウントキャリパーやABS、ワンプッシュでエンジン始動可能な「スズキイージースタートシステム」、発進時や低速走行をサポートする「ローRPMアシスト」なども継承しつつ、基本性能からボトムアップされた。
個人的にやや残念なのがVストローム1050のオフロード向け上級版の「XT」に搭載されていた「モーショントラックブレーキシステム」が未採用なこと。
6軸IMUとABSコントロールユニットを組み合わせた要はコーナリングABSなのだが、昨年Vストロームを試乗したときにこのシステムの恩恵を実感したからだ。もちろん、メーカーとしてもそれは重々承知のこと。コスパのバランスを考慮した結果とは思うが……。
いずれにしても、国産ファイターの代表格であるGSX-S1000の進化に期待しているファンは多いはず。どんな走りを見せてくれるのか楽しみだ。
※原文より筆者自身が加筆修正しています。