ソーシャルメディア上のトモダチ、高校生なら何人だろう?
家族2人足らず、学校の友達15人、SNS上だけの友達は…?!
ソーシャルメディアは実対面や他のコミュニケーションツール、例えば電話や手紙、さらには電子メールと比較してですら、対人コミュニケーションのハードルが下げられる点がメリットの一つといえる。しかも多数の人と知り合える機会すら得ることが出来る。それでは多感な時期を迎える高校生達においては、何人位の人達とやり取りを交わしているのだろうか。情報通信政策研究所が2014年5月に発表した調査報告書「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」結果から、実態を探ることにする。
今調査によれば今時の高校生の9割以上はソーシャルメディア(今調査ではLINEもソーシャルメディアに含めている)を利用しており、それを使って多彩な人たちとの交流を進めている。一番多い相手は利用目的から察するに「リアルな知り合い」とのやりとりだが、情報収集や新しい友達が欲しくて利用する事例も多く、必然的にソーシャルメディアを介して知り合い、友達になる事例も出てくる。
そこでこの「ソーシャルメディアを利用している高校生」に対し、ソーシャルメディア上でよくやり取りをする人数を尋ね、その平均値を計算した結果が次のグラフ。もっとも身近な他人といえる家族は1.6人との答えが出ている。
1.6人という数字から推測すると、両親のいずれか一人、そして兄弟姉妹がいればそれもプラス……というところ。最初のグラフの通り「リアルの友達、知人」に合致する項目としては「学校の友達」「以前の学校の友達」、そして「学校外活動経由の友達(クラブ活動や塾など)」が当てはまる。これはそれぞれ15人、10人、5人程度。
特に後者2項目は、日頃、直に接する場面が無い、無くなってしまった間柄においても、意思疎通を図れるありがたいツールとして、ソーシャルメディアが活躍している。一昔前なら、以前の友達との間の意思疎通など、年賀状でのやり取り、あるいは同窓会など何か機会があった時にお茶をする位だったのが(高校生で同窓会というのも気が早い話だが)、今ならソーシャルメディアでそれこそ毎日のようにやり取りできる。
一方、ソーシャルメディアで新たに創られた交流関係で、やりとりをする人数も興味深い。「ソーシャルメディア上のみ」で実際には会ったことは無いとの人が19.4人、さらにソーシャルメディア上で知り合い、例えばイベントやオフ会などの機会で実対面を経験している人数は1.8人。実対面まで進んだ人数は少ないが、デジタル社会でのみの知り合い関係、しかもそれなりに親しい柄の知人(友達)を、ソーシャルメディアを利用している高校生ですら20人近く有していることになる。リアルな立場での友達とは立ち位置が違えど、ソーシャルメディアが無かった時代の交友関係とは、大きな変化が生じていると考えて良い(無論、ソーシャルメディア上の付き合いが深くなるほど、リアルな付き合いによる友達が減っている可能性はある)。
ネット依存が高いと自覚している人は…
この「ソーシャルメディア上の知り合い」について、自己判断テストによるネット依存傾向の区分別(自己判断テストの内容そのものは「スマートフォン保有者の方が「ネット依存傾向」は強い法則」参照のこと)で仕切り直したのが次のグラフ。
リアルな付き合いがある人との間の、交流人数に差異はあまり無い。ネット依存自覚度に関わらず、「リアルに既知な人との」ソーシャルメディア上での付き合い方に変化はないということ。
差が大きく生じるのは、ソーシャルメディアがきっかけで知り合った人の人数。実対面を得た人は「高」では5.3人、「低」の5倍近く。そして、ソーシャルメディア上「のみ」での付き合いがある人の人数が、「高」では93.1人と100人近くに達してしまっている。まさに「友達100人できました(但しネットオンリー)」状態である。これはあくまでも同じ属性下での平均値なので、実測値として100人以上の回答をした人がいることは容易に想像が出来る。
自己判定で「自分はインターネットに依存している傾向がある」との回答が導き出せるほどにインターネットに没頭していれば、ソーシャルメディアに深く注力しているのも当然。それでもなお、ソーシャルメディア上のみで「よくやりとりする人(友達)」の数が90人以上もいるという状況は、相当なコミュニケーション能力を有していると評することができよう。
……その分、実社会における交流が損なわれていなければ、なお良いのだが。
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