台風が遠くても危険な「一発大波」
園児が無事に見つかることを願わずにいられません。
伊良湖岬から比較的近い伊勢湾口沖の観測値を見ると、23日は、朝の波高が2メートル前後でそれほど高くなく、また天気もよく晴れていたので、「穏やか」という印象があったかもしれません。
ところが、時間とともに波が高まり、事故が起こった頃には3メートル近くに達していました。
この波高というのは、正確には「有義波高」というものです。高い方から3分の1の波を抽出して平均したもので、見た目の実感に近い値とされています。
しかし、当然、波には大小がありますので、100波に1波は有義波高の1.6倍、1000波に1波(約2時間に1波)程度は有義波高の2倍の波が現れます。「一発大波」とも言われる波です。事故当時も、3メートル程度ではなく、5~6メートルほどの大波が発生した可能性もあります。
高波の原因は、台風20号です。台風は伊良湖岬から1000キロ以上も離れた南海上にありましたが、十分に注意圏内です。台風が北緯20度より北まで北上してくると、太平洋岸に台風の高波が入り始めます。
また、台風からのうねりは力強く、岸に近づくと急に高くなることがあり、いっそうの注意を要します。
「一発大波」「台風が離れていても」「晴れていても」などは、今に言われ始めたことではありません。海の知識と情報収集が、被災のリスクを下げます。子供にも伝わり、一件でも事故が減ることを願います。
台風20号は、本州から離れた海上を進みますが、太平洋岸には高波が押し寄せ続けます。今週後半にかけて油断できません。