世良公則氏、高市早苗候補にコロナ禍でのエンタメ業界の実情語る「感動の裏にはプロのスタッフがいます」
2021年9月17日に、自由民主党(自民党)の総裁選挙が告示された。河野太郎規制改革相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行の4名が立候補を届け出た。
その中でも高市早苗候補はエンタメ業界の方々との意見交換も進めている。高市氏は総務大臣時代から日本のコンテンツを海外に積極的にアピールしていた(当時は「クールジャパン」とも呼ばれていた)ようにエンタメ業界の動向にも明るい。30年来の付き合いがあるという嘉門タツオ氏は高市氏の応援歌も作って披露。
そして世良公則氏は新型コロナ禍でのアーティストのライブ活動の苦境と政府の補償の問題点に高市氏に訴えていた。また世良氏はJ-LODlive補助金についても自身の経験から、問題点を高市氏に訴えていた。高市氏も真摯に話を聞いていた。
J-LODlive補助金では新型コロナウイルス感染症の影響で公演やライブを延期・中止した事業者に対して、ライブ公演の開催及びその収録映像を活用した動画の制作・配信の費用の一部を補助している。最近では新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、海外におけるプロモーション機会が失われているなか、音楽・演劇の公演の実施や収録動画の海外向けデジタル配信を支援も開始している。
「皆さんの感動の裏には必ず支えてくれているプロのスタッフがいます」
高市:あまり使い勝手がよくないという評判のJ-LODです。
世良:自粛要請に従ってライブを自粛するようになって1年8カ月が経ちました。去年の2月終わりに政府からライブ活動の自粛要請がありました。ライブを強行して批判を浴びたアーティストもいました。スタッフを集めて何度もミーティングを重ねてキャンセルを決めました。エンターテインメントといっても様々な職種があります。僕は音楽家です。
僕がリーダーとしてライブ中止を決定すると、僕のステージを支えてくれている音響、照明、舞台、楽器、スタジオワーク、チラシやポスター、Tシャツ作り、運搬などのプロフェッショナルたちの仕事もなくなりました。僕の決断一つで彼らの仕事を奪うことになりました。ライブが何か所にもなれば、彼らへの影響が大きいです。彼らはプロです。何年も何十年もかけたプロたちが私たちアーティストを裏で支えてくれています。皆さんの感動の裏には必ず、それを支えてくれているプロのスタッフがいます。でも僕の決断一つで彼らの仕事が一気に消えます。優秀なスタッフはいくつものアーティストを担当しています。彼らの生活そのものが成り立たなくなります。そういうことを痛切に感じました。
当初は自粛の要請があっても、それに対する補償がありませんでした。会場のキャンセル料もかかります。あまりにも多額で制作会社の社長が精神的に耐えられなくて、自身の命を絶たれるケースもありました。国会議員の方に訴えたり、ツイッターを再開して現状を伝えるようになりました。
プロの皆さんは一人社長やフリーランスであることが多いです。そうすると手当の対象外だったりします。また高スキルを持ったフリーランスの方の人生や生活を支えるには、あまりにも補償が足りていないと痛感しました。
まず政府が提示してくれたのが無利子無担保の融資でした。我々の仲間もお願いしました。それにも上限や縛りがありました。でも融資も借金です。自粛を要請していて売上もなくなったのに、国から「借金を背負って歩きなさい」と言われました。でももう1年8カ月が経ちました。3カ月では収まりませんでした。次に来たのは貸し渋りでした。既に借金を抱えている人になかなか融資してくれません。
高市:今年の5月に金融庁に来てもらい、このような緊急時だからお金を世の中に出す時期だと依頼しました。金融庁は「貸し渋りをしないようにと金融機関にも強く伝えている」とのことでしたが、現状と違ったのですね。
世良:融資の返済もしていかないといけません。持続化給付金と言いながら持続化できていない状況もありました。このままだと芸術を支える人たち、表現者を支える人たちが廃業していきます。優秀な人たちほど業界から離れていきます。
高市:私はまだ一総裁候補ですが、補正予算を急ぎたいと思います。年内に成立させたいです。(以下略)
「3月に申請しているのに、先週(9月末)の段階で受理されたかどうかもまだわからないんです」
高市:J-LODは全然ダメですか?
世良:J-LODは申請が難しいです。音楽制作を行っているプロたちが作っている申請書なのに何度も戻ってきます。こういうのを追加してください、説明してください、とか言われて何度も戻ってくるんです。あとライブを実施する補助金申請をするのですが、なかなか通りません。最近の具体例では、3月に申請を出してライブをやって内訳も出しています。集客は会場の50%で、J-LODが補償してくれるのはその50%集客の経費のうちの50%です。3月に申請しているのに、先週(9月末)の段階で受理されたかどうかもまだわからないんです。
さらに、J-LODの要件には「そのライブを動画で撮影してください。その公演内容の複数曲を編集してYouTubeに投稿してください」というのがあり、その要件を満たさないといけないんです。そうすると、ライブの撮影、編集にまた予算がかかります。それも含めたうえで申請してくださいということなんです。なんで動画が必要なのかの意図も理解できませんし、プロが作った申請書なのに何度も戻ってくるんです。なんとか簡素化してほしいです。J-LODの仕組みが機能的に作られていないと思います。
高市:わかりました。(中略)
世良:日本が遠い昔から培ってきた日本の豊かな文化や産業が海外に流出してしまっています。日本国内でやっていればよかったのにと、最初の会見で力強く述べられたのは高市さんだけでした。心打たれました。是非、豊かな日本を子供たちに残していきたいです。力を発揮してください。
高市:もっと強くして美しくして良い国にしたいです。名目金利を上回る名目成長率に財政改善させます。お金を使うべき時に使わないで、いろんなものを壊してしまったら、コロナが終息した時に(そのようなアーティスト活動や文化を担う人が)誰もいないぞということになってしまいます。(後略)
また高市氏は9月26日に開催された自民党総裁候補4人が国民からの質問に答える政策討論会で以下のように述べていた。
高市:舞台芸術、音楽など芸術関係が厳しい状況です。様々な支援策が採られていますが、現場の声を伺いますと、物凄く申請がややこしくてめんどくさい。苦労して申請したのに何カ月経っても受理されたのかわからない。しかも振込が遅い。舞台を支える多くのフリーランスの方の生活も厳しくなってきているという切実な声を伺いました。
申請を早く受け付けること、そして早く支給します。そして建て直しに時間がかかるキャスティングが必要なものは支援を延長したいと考えています。
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