速報! 霞が関の残業代、「払われていない」3割。質問通告を待ち、全省庁が待機も!
河野太郎国家公務員制度担当大臣は、霞が関の官僚の残業代を「残業時間はテレワークを含めて厳密に全部付け、残業手当を全額支払う」と語り、「麻生太郎財務相の理解を得た」と言っている。(2021年1月22日、記者会見より)「『やらない、やらせない、見逃さない』を徹底したい」とも強調していた。
その後の初の給料日には、twitterに「今まで3万円だった残業代が30万円に」というツイートが見受けられた。今までの未払い分を思うと、想像を絶する金額となりそうだ。しかし、「テレワークの分がついていない」というツイートもあり、省庁によってもバラつきがあるようだ。
その実態をインターネット調査した結果が、4月22日、ワーク・ライフバランス社の記者会見で発表された(2021年2月・3月の国家公務員の残業代について全額の支払いがされたのか本調査を実施、国家公務員316名の回答を収集)。
残業代払われない3割、諦めや転職探しも!
その結果、「全額支払い指示後もなお3割が残業代を正しく支払われていないことが判明」した。アンケートに答えた人316人中3割、つまり約100人が「満額の残業代が支払われていない」ということになるので、問題視して良いことではないか?
またテレワークができるようになったものの、テレワークの分が残業代としてカウントされていない省庁があるなど、省庁によってのバラつきが目立った。「残業代を最も正確に支払っていないのは『財務省』『厚生労働省』」、「支払っているのは環境省、内閣官房」であった。
これは省庁の対応というだけでなく、制度上の問題がある。そもそも国家公務員の残業代は一般企業とは違い、予算化されている中から払われる。つまり支払いが多いと年度末までに尽きてしまう財源なのだ。省庁の問題にとどまらない上のレベルの決断が必要となる。
払われなかったとした官僚は「残業代不払いに『諦め』71%、『モチベーション低下』42%、『転職先探し』26%」となっており、ただでさえコロナ禍対応で忙しい省庁のマンパワーが、さらに削られる危機感が高まる。
残業のおおもとはアナログと議員対応
「残業の原因は」という質問には、「国会議員の質問通告の遅さとアナログさ」であり、質問通告の「2日前ルール」は「守られていない」85%」ということだ。質問通告については、「当該委員会の2日前までに実施するもの」と与野党での合意がなさているが、実態は守られていなかった。
これでもコロナ禍になって1年、以前のアナログ一択よりはだいぶ改善されているのが、以下の結果を見てもわかる。
・「オンラインで議員レクができる」と答えた人は17%から67%に急伸
・「議員とのやり取りがFAXではなくメール等に」は14%から69%へ急伸
・「大臣レクのデジタル化」は1位:環境省。前回に比べ防衛省・法務省が大きく躍進
注目すべきは、今回の調査ではアナログ対応の多い党、質問通告の遅い党、さらに議員名までが上がっていることだ。ある程度改善されているだけに対応できない部分が目立つことになる。
フリーコメントには「国会議員から『今日中』に『対面で』説明を求められ、時間に遅れると『土下座』を求められることも」「夜10時を超えても通告を出さず、全省庁が待機させられました」という悲痛な声が多く載っていた。
ワーク・ライフバランス社小室淑恵社長は「国家公務員に優秀な人材が集まらなくなることにより、政策の質が低下し国益が大きく損なわれることが考えられる」とし、また記者には「質問通告の遅い党をただ批判するのではなく、事情や改善策をしっかり取材してから記事にしてほしい」と呼びかけている。
参考:
【プレスリリース】【コロナ禍における中央省庁の残業代支払い実態調査】 全額支払い指示後もなお3割が残業代を正しく支払われていないことが判明 残業代を最も正確に支払っていないのは「財務省」「厚生労働省」