日本のメディアへの認知度合いは韓国がトップ
閉鎖的な業界スタイルの経年劣化的現象や、新メディアの勢力拡大に伴う相対的な存在価値の低下により、大きな揺れ動きの中にある日本の従来型大手メディア。それらは海外からはどの程度認識されているのだろうか。今回は新聞通信調査会が2017年4月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2017年実施)」(※)の内容から、その実情を確認していく。
次に示すのは新聞を中心とした日本の大手メディアについて、諸国の人たちがどこまで認知しているかを示したもの。要は海外における知名度である。例えばNHK(ワールドTV、ラジオジャパンなど)はアメリカ合衆国では6.9%を示しているので、アメリカではNHKのことを知っている人は1割にも満たないことになる。
一見すると低い、知っているものは無いとの回答率が高いように見える。しかし立ち位置を変えて、日本居住者からアメリカ合衆国やイギリス、フランスなどの各国の国内、あるいは海外にも展開しているかもしれない報道機関をどれだけ知っているかを考え直してみれば、この低い値は納得できるはず。日本でよく伝えられるCNNやBBCぐらいは認知しているかもしれないが(設問は「ご存知ですか」なので、内情を詳しく知らなくても良い)。
一方、韓国は今回取り上げられている諸外国の中では、唯一半数以上が認知しているとの高い値を複数項目で示している。NHKがほぼ8割、共同通信社は半数近く、時事通信社でも2割強、読売や朝日のような大手新聞社なども約7割が認識している。そしていずれも知らないとの回答は1割足らずでしかない。内容に関する評価はともあれ、多くの人が知っているのが分かる。あるいは電波系メディアなら場所によっては直接受信できるのも一因かもしれない(もっとも昨今ではインターネットを使えれば距離を感じることなく、各メディアの情報は取得できるのだが)。また中国も韓国に次ぐ高い値を計上しており、日本のメディアを認知している人が多い実態が確認できる。
それではこれらの報道機関も含め、各メディアで日本のことが報道された際に、どの程度関心を抱くのだろうか。要は日本(の情報)に対してどれだけ興味があるかを確認した結果となる。
日本のメディアに対する認知度は今調査対象母集団では韓国が一番高いのだが、関心度は米英仏よりやや高い程度。ただし「とてもある」との強度の意見はもっとも大きな値を計上している。
その韓国を超える割合で強い関心を抱いているのがタイ。ほぼ8割が弱強度を問わずだが関心を評しており、否定派は2割近くに留まる結果が出たのは注目に値する。他調査項目でもタイは日本への、特にエンタメ部門で強い関心を有していることが明らかとなっており、興味深い話ではある。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年2月から3月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。