海外からオファー殺到も、ウエスPが恐れる“世間の波”
裸体の上でのテーブルクロス引きなど体を張ったピン芸で海外でも注目を集めているウエスPさん(35)。今年2月にはイタリアのテレビ番組局「Lo Show Dei Record」に出演し「体に装着したスッポンによって、1分間に最もたくさん点火されたマッチの数」などギネス記録も樹立しました。TikTokの登録者数が約1000万人を超えるなどSNSでも存在感を示していますが、活動の根底にあるのは消えることのない不安でした。
一本の動画から
2017年にTwitterで動画をアップしたのが海外からオファーをいただくきっかけになりました。扇風機の羽と布をヒモでつないで裸体の上でテーブルクロス引きをする動画が5万リツイートくらいになり、いわゆるバズる状況になりまして。
もともとそういうネタをやっていたんですけど、ちょうどその頃、おばたのお兄さんらがSNSに動画をアップするということで注目されていたんです。それを見ていたので、もしどこかテレビ番組のスタッフさんとかが見てくれていたらと思ってアップしたら、海を越えて海外の番組からオファーをいただきまして。
何がどうなっているのか分からないまま、動画アップの2週間後にはドイツにいたという感じでした(笑)。まさか、まさかの流れでした。
海外で出していただいた番組がまた別の海外の番組につながってという感じで、今に至るということなんですけど、イメージ的に言うと、海外でのお仕事が4割、日本でのお仕事が6割というくらいだと思います。
2020年からいわゆる新型コロナ禍の中に入るわけですけど、ちょうどその少し前からSNSにも力を入れ始めていて、今、一番フォロワーが多いのはTikTokで1100万人ほどが登録してくださっていて、InstagramやYouTubeなども合わせると、総フォロワー数は1500万人くらいになっています。ありがたいことに。
もともとは「ダウンタウン」さんにあこがれてお笑いの世界に入ったので、相方を見つけて漫才をやって賞レースで結果を残して…みたいな芸人人生を目指してはいたんですけど、自分でも思いもよらない形になっています。
世間の波
ただ、ここ数年で見た目を笑わないとか、笑いを取り巻く状況が激変してきました。今のところ、その波をニュルニュルとかいくぐりながら何とかやってますけど、いつ「裸で何をやってるんだ」ということが押し寄せてこないか。いつ僕みたいな芸風が終わるのか。世の中の流れというか、世間の波に左右されますから。その心配は常に感じています。バレないように何とかいけたらなと(笑)。
こればっかりは何とも言えませんし、世の中が変われば求められるものも変わる。なので、そこはニュルニュルといけることを願うばかりですけどね。
そして、そのニュルニュルの先に、何か大きなことがあればとは思っています。ものすごく大きくて、極端な話かもしれませんけど、アメフトのスーパーボウルのハーフタイムショーでネタをする。おそらく、エンターテインメントの最高峰があそこかなと思っていて、もしそこにこの芸でたどり着けたら痛快だなと。
…ただ、あそこで失敗だけは絶対にできないですけどね。全世界にとんでもないものが発信されますし。でも、ま、それはそれで芸人としては最高に面白いんですけどね(笑)。
(撮影・中西正男)
■ウエスP(うえすぴー)
1987年11月15日生まれ。埼玉県出身。本名・植草和久。吉本興業所属。NSC東京校12期生。同期は渡辺直美、ジャングルポケットら。2006年にデビューし、体を張ったピン芸で注目される。裸体に布を乗せ、その上にティーカップを置いてテーブルクロス引きをする動画がSNSで話題となり、2017年頃から海外からもオファーを受けるようになる。18年、フランスのテレビ番組「La france a un incroyable talent」(『アメリカズ・ゴット・タレント』のフランス版)で決勝に進出するなど海外で多くの実績を残す。今年2月にはイタリアのテレビ番組局「Lo Show Dei Record」に出演し「体に装着したスッポンによって、1分間に最もたくさん点火されたマッチの数」などギネス記録を樹立した。TikTokやInstagram、YouTubeなどSNSの総フォロワー数は約1500万人。