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毛布の掛け方の正解は羽毛布団の上下どっち? 暖房費抑えて快眠するコツを解説

和田由貴節約アドバイザー/消費生活アドバイザー
暖かく眠るための正しい布団の掛け方は?(写真:イメージマート)

もうすぐ3月ですが、特に夜間の冷え込みはしばらく続く季節です。寝るときの寒さ対策は手を抜けませんが、今年は例年以上に厳しい冬となった上に光熱費の上昇もあり、暖房費の節約に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、暖房に頼りすぎたり布団をむやみにたくさん掛けたりしなくても、工夫次第で暖かく快眠することができるのです。

寝室の環境を整える

睡眠時の理想的な室温は16~19度、湿度は50%前後と言われています。これにできるだけ近づけられれば良いのですが、寒いので暖房をつけっぱなしで寝たら乾燥してのどを痛めてしまったり、乾燥が嫌で加湿器をつけて寝たら寝室の窓がひどい結露になったり、冬場の寝室の環境をコントロールするのはなかなか難しいですよね。

まず通常の寒さ対策と同様に、外から冷気が入ってきにくい環境を整えることが必要です。室内から流出する熱の約5割は窓からと言われていますので、窓への防寒対策は必須。窓を複層ガラスや二重サッシなどにするのが理想ですが、簡単にできる対策としてはカーテンを厚手のものや丈の長いものにするのが良いでしょう。

特に、冷たい空気は重く床の方に下りてくるため、カーテンと床の間に隙間があると冷気が室内にどんどん入ってきます。掃き出し窓であればカーテンは床に引きずるくらい長めに、腰高窓であればカーテンの裾をひらひらさせずに窓枠に固定させて隙間をなくすなどの工夫をしてみてください。

暖房をつける場合は、室温15~18度を目安にし、設定温度を上げすぎないようにします。また、タイマーを使用し2~3時間後には切れるように設定しましょう。

加湿器はスチーム式や超音波式を使用すると、湿度関係なく加湿し続けるので過加湿状態になりやすいです。気化式の加湿器であれば、フィルターなどに含ませた水分に風を当てて自然気化させるため、必要以上に加湿されず安定した湿度が保てます。ランニングコストも安く、音も静かなものが多いので、寝室に置くなら気化式加湿器がおすすめです。

寝具を正しく使う

人は寒すぎても暖かすぎても快眠できません。日本睡眠科学研究所「寝室環境・寝床内の研究」によると、理想的な寝床内環境の温度は33±1度、湿度は50±5%です。

寒いからと布団や毛布をたくさん掛けるのではなく、温度と湿度のバランスをとることが快眠につながるのです。

正しい布団の掛け方

掛け布団には綿や羊毛、ポリエステルなどさまざまな素材のものがありますが、中でも暖かい布団といえば羽毛布団をイメージされる方も多いでしょう。羽毛布団は、羽毛の間に含まれる空気の層によって優れた保温性を発揮する布団です。そのため、羽毛布団は毛布などを挟まず直接体に掛けるのが正しい使い方です。

羽毛布団だけでは寒く毛布を使いたい場合は、掛け布団の上から毛布を掛けます。ただし、重たい毛布を掛けると羽毛を押しつぶしてしまい、保温性が損なわれてしまうので薄手の軽い毛布にしましょう。綿布団の場合でも、綿がへたっておらず手入れされている掛け布団であれば、毛布は掛け布団の上から掛けるのが正解です。

毛布をより効果的に使うのであれば、掛けるより敷く方がおすすめです。寝ているときに布団から熱が逃げる割合は、掛け布団側より敷布団側の方が多いので、上にたくさん掛けるより下を厚くする方が暖かさが増します。たくさん布団を掛けているのにどうしても寒いと感じる方は、下に毛布や敷きパッドを敷き、さらに厚手のマットレスを敷くなどの対策もおすすめです。

毛布の特徴を知る

毛布にもウールなどの動物性繊維の毛布、綿毛布、アクリルなどの化繊毛布がありますが、それぞれの特徴を知って使う必要があります。

ウールなどの動物性繊維の毛布は、保温性が良く、吸湿発散性(いわゆる蒸れにくさ)も非常に優れています。ただ、簡単に丸洗いができませんし、お値段もお高め。化繊に比べると重量もあるので、手軽さには欠ける部分が多いです。

綿毛布は、化繊やウールなどに比べて触ったときの暖かさや保温性は劣りますが、吸湿性が良く、手入れも簡単。また暖かくなりすぎないので、冬場以外でも肌掛けやタオルケット代わりに使うこともでき、汎用性が高く使い勝手の良い毛布です。

アクリルなどの化繊の毛布は、肌触りが良く保温性にも優れています。軽くて暖かく、比較的安価で手入れが簡単なことも魅力です。ですが、吸湿発散性がほとんどないため、汗を吸わず蒸れやすいのが弱点。上下を化繊毛布に挟まれるような形で寝ると、寝床内湿度が上がりすぎて快眠を妨げるため注意しましょう。

電気毛布の使い方

布団に入るときひんやりしているのが嫌な方は、電気毛布を使用するのも良い方法です。ただし、朝までつけっぱなしで寝るのはおすすめできません。

人は睡眠時に深部体温を下げることで体を休ませる仕組みがあります。体温を下げる際には皮膚表面から熱を逃がさなくてはなりませんが、電気毛布で暖め続けると十分に熱を放散できず、睡眠を妨げてしまいます。また、人は睡眠中に約200mlの汗をかくと言われていますが、電気毛布によってそれ以上に多くの寝汗をかいて脱水症状になる可能性もあります。

電気毛布は布団に入る30分ほど前につけて布団を暖めておき、布団に入ったら電源を切る、もしくはタイマーをつけて30分程度で切れるようにしておきましょう。

足が冷えて寝付けない場合

足が冷えてなかなか寝付けない方は、電気あんかや湯たんぽを使うのもおすすめです。ただし、こちらも電気毛布同様朝まで使用するのはおすすめできません。

前述の通り、人は睡眠時に深部体温が下がりますが、熱を逃がすのに重要な部分は手や足、特に甲の部分とされています。足を温め続けてしまうと睡眠を妨げる原因になったり、逆に冷えやすくなったりすることもありますのでご注意ください。

余談ですが、湯たんぽは意外とランニングコストが高い暖房器具です。もし容量2リットルの湯たんぽを使用するために2リットルの水を都市ガスで沸かした場合、約4.8円のガス代がかかるのに対し、電気あんかの1時間当たりの電気代は0.1~0.2円程度です。ポットに沸かした湯が残っているなど、余ったお湯があるなら湯たんぽも良いですが、わざわざ沸かすのであれば電気あんかを使った方がコストは安くすみます。

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寒さのピークは越えてきたころだとは思いますが、まだまだ寒い日が続きそうです。寝室や布団での寒さ対策を十分にして、暖かくお過ごしください。

※参考情報

・フランスベッド「快眠のための寝室の温度とは」

・テルモ体温研究所「睡眠と体温」

【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】

節約アドバイザー/消費生活アドバイザー

消費生活アドバイザー、環境カウンセラー、家電製品アドバイザー、食生活アドバイザー、3R推進マイスター(環境省第一期国推薦委嘱)など、多数の資格や経験を活かし、消費生活や節約術、省エネ、家事の専門家として活動。専門分野は食費・光熱費・交通費・レジャー費など生活全般の節約、エコライフ、買い物、100円ショップ、そのほか消費生活アドバイザーの立場から製品安全や消費者問題、環境教育などにも携わっており、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。「ホンマでっか⁉︎TV」節約評論家をはじめ、テレビ出演、講演、執筆など幅広く活動中。

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