2020年1月の世界の国の米国債保有額、日本はトップを維持
米財務省が3月16日に発表した2020年1月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、日本は前月からさらに増加させて、引き続きトップを維持した。
MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
日本の今年1月における米国債保有額は1兆2117億ドルとなり、前月比で568億ドル増加した。これに対して中国は1兆786億ドルとなり、前月比で87億ドルの増加となった。日本と中国の米国債残高の差は再び拡大した格好に。
国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)
日本(Japan) 1211.7 56.8
中国(China, Mainland) 1078.6 8.7
英国(United Kingdom) 372.7 40.1
ブラジル(Brazil) 283.3 1.5
アイルランド(Ireland) 271.4-10.4
ルクセンブルク(Luxembourg) 255.2 0.6
スイス(Switzerland) 238.1 0.6
香港(Hong Kong) 229.6 6.3
ケイマン諸島(Cayman Islands) 216.1-14.3
ベルギー(Belgium) 209.4-0.8
1月に入り、イランと米国との対立緊張によって波乱の展開となった。このためリスク回避の動きを強め、米債は買われた。米10年債利回りは今年1月末あたりにかけて低下基調となり、1.5%あたりまで低下した。しかし、中東の緊張は一時的なものとなった。
英国の欧州連合(EU)離脱実現に必要な離脱関連法の法案が1月22日までに英議会を通過し、エリザベス女王が23日に裁可して成立した。これによりひとつのリスク要因が後退した。
そして1月下旬頃に、あらたなリスク要因が出てきたのである。中国で新型のコロナウイルスによる肺炎が発生し、感染が拡大してきた。大きなリスクがやっと沈静化しつつあったところだけに、市場ではまたか、との認識も強かったのではなかろうか。ところが、現実はまたかどころの騒ぎではなくなってしまった。
中国発の新型コロナウイルスは中国にとどまらず、日本を含めたアジアから欧米に拡がり、パンデミックの様相となってきた。これを受けて2月はじめに1.65%あたりまで戻していた米10年債利回りは、リスク回避の動きやFRBによる利下げなどから、3月9日に0.31%まで急低下したのである。
その後、今度はリスク回避の動きはキャッシュ化の動きを強めることとなり、安全資産とされる金が売られ、米国債も一時換金売りに押されることとなる。
このようになかなか目にすることのできないような相場展開となったわけだが、この間に米国債の国別保有状況がどのように変化したのか。2月と3月の数字もしっかり確認しておきたい。