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年収別と高齢層と・ネット機器の利用状況を確認する

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ パソコンやスマートフォン等の携帯電話、年収で利用率の差はあるのか

高年収ほど高いパソコン・携帯・タブレット利用率

インターネットへの窓口となるパソコンや携帯電話だが、全国民の手に行きわたり、活用されているわけでは無い。現時点でどの程度の普及率なのか、総務省が2015年7月に発表した「通信利用動向調査」の公開値を元に、世帯年収、そして高齢者限定の視点で見ていくことにする。

まずは全体的な「パソコン」「携帯電話」「タブレット型端末」「ゲーム機など」における、インターネット機器としての利用率。「インターネット利用の有無を問わず、該当属性全体に対する比率」で算出していることに注意。またパソコンに関しては、「自宅利用のパソコン=自分の世帯所有」に絞って値を算出した。

↑ インターネット機器としてのパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機などの利用率(個人、2014年末)(全員対象)(全体値)
↑ インターネット機器としてのパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機などの利用率(個人、2014年末)(全員対象)(全体値)

「パソコン(自宅)」は53.5%なので、調査対象母集団の5割強が「自宅のパソコンをインターネット端末として利用している」と回答している。携帯電話は61.6%と「パソコン(自宅)」を抜いており、パソコンの対象を自宅利用に限定すれば「インターネットへのアクセス窓口は携帯電話が最上位」な状況にある。

これを回答者の所属世帯における年収別で区分したのが次のグラフ。

↑ 世帯年収区分別・インターネット機器としてのパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機などの利用率(個人、2014年末)(全員対象)
↑ 世帯年収区分別・インターネット機器としてのパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機などの利用率(個人、2014年末)(全員対象)

「自分が所属する世帯が低年収ほど、パソコンも携帯電話もタブレット型端末も(インターネット)利用率が低い」傾向が見える。特に低年収区分では利用率の低さが目立つと共に、パソコンと携帯電話との差が大きい。コスト面ではパソコンよりも携帯電話の方が(特に初期費用の点で)安上がりなため、低年収層では重宝がられているものと考えられる。そしてその傾向も合わせ、低年収世帯では、インターネットの利用が(多分に)金銭的なハードルに阻まれていることが推測される。

一方、ゲーム機などは年収別の差異はほとんど無い。やや高年収ほど高利用率を示している程度。それと比べてタブレット型端末は、年収による差異が大きく出ている。特に2000万円以上の世帯では1/3を超える利用率が計上されている。あれば便利だが必要不可欠では無い端末との立ち位置から、余力が無いと手は出さない・出せないとの心理が働いているものと考えられる。

モバイル機器は高齢層でも大活躍

続いて60歳以上・65歳以上・80歳以上の総計における、インターネットの利用率。

↑世代区分別・インターネット機器としてのパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機などの利用率(個人、2014年末)(一部)(全員対象)
↑世代区分別・インターネット機器としてのパソコン、携帯電話、家庭用ゲーム機などの利用率(個人、2014年末)(一部)(全員対象)

すでに若年層から中堅層にかけてはパソコン(自宅)よりも携帯電話によるインターネットアクセスのほうが上回っている。実は高齢層においても、その状況に違いは無い。そしてこのモバイル端末の多くはスマートフォンでは無く、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)。この「スマホか否か」の点をのぞけば、シニア層においてもインターネットの窓口は、多分に携帯電話である。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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