夫と妻の力関係の実態を探る
夫婦とはいえ赤の他人同士が同一世帯内で生活する以上、日常生活の多様な場面で両者の力関係が試され、結果に影響する。世間一般の平均としてはどのような状況なのだろうか。ゲンナイ製薬が2015年11月に発表した調査「夫婦の関係と夫婦の会話に関する調査」(配偶者が居る20歳以上の男女を対象にインターネット経由で実施。有効回答数は1000人。男女比は1対1、世代構成比は20代・30代・40代・50歳以上で均等割り当て)の結果から、その実情を探っていくことにする。
夫婦の間で生じるさまざまな選択、意見の相違が生じた際の最終的な決定を左右するパワーバランス。夫婦間の総合的な力関係、結婚に至るまでの背景など、実に多様な要素がパラメータとして存在するため、一概に「亭主関白」「かかあ天下」と断じることはできない。今件では男性・女性が1対1で同数の調査対象母集団であり、配偶者持ちであることが前提のため、男女それぞれの意見全体の、総合的な平均的状況における、夫と妻の力関係を示す形となる。
まずは生活面。
夕食メニューの決定権は圧倒的に妻優勢。中には専業主夫や夫が料理をする機会が多い世帯もあるだろうが、全体としては妻の方が料理の機会が多いことは容易に想像できる。当然、妻の方がメニューの決定権を有するのは不思議では無い。また食費は家計にも大きな影響を及ぼすため、お財布のひもをどちらが握っているのかも多分に影響する(当然の話ではあるが、夫対妻の比率はほぼ同じような結果が出ている)。
テレビチャンネル決定権はほぼ同率、やや夫の方が高め。一番風呂に関しては帰宅時間や価値観の違いなどがあり、今件調査の限りでは夫の優先権の方がやや高い結果が出ている。
日常生活における家計上のやりくりの面では、妻の方が主導権を握る事例が多い。妻派が6割、夫派は2割強でしかない。しかし自動車や住宅といった大口の出費の場合は、夫の方が優先権があるとの回答率が高くなる。これは中長期的で高額な出費の場合は、多分に夫の稼ぎの状況が影響するからと考えれば道理は通る。また自動車の場合は、夫が使う場合の方が多いからなのに加え、仕様面で夫の方が理解があるからだと考えられる。
もちろんこれも状況に寄りけりで、妻用の自動車を購入する場合において妻が優位にある場合も多分に考えられる。また、夫婦が共に暮らす時間が長い住宅購入の場合は、均衡、つまり夫婦ともに同じ力関係にあるとの認識で決める場合が多いようだ。
生活面や買い物面以上に状況によりけりで、あくまでも一般論でしかないのだが、相手を好きな気持ちは夫の方が妻よりも強く、相手への不満を我慢する度合いは妻の方が強い。しかし口げんかとなると妻の方が強いとの認識が一般的。世間一般における夫婦間の力関係のイメージとほぼ一致しており興味深い。
また、ケンカでどちらが先に謝るかとの項目では、夫の方が圧倒的に多く5割近く。妻は2割にも届かない。今件は妻、夫どちらか一方のみの回答では無く、双方の回答結果であることを思い返せば(つまり妻側、夫側の相手に対する印象論的なものによる偏りを相殺で無視できる)、全体像としてこのような状況が一般的な夫婦間のパワーバランスであることが理解できよう。
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