少子化や医療環境整備の問題で特に注目される産婦人科や小児科。それらの診療科の医師の過不足度合いを、医師の対該当属性の人口比の観点で、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の最新版の公開値から確認していく。

次に示すのは、産婦人科・産科および小児科について、その資格を持つ主たる医師数(その診療科のみの医師と、複数の診療科に従事しているが主には対象となる診療科に従事している)を、それぞれの都道府県別で、産婦人科・産科は「15～49歳女性人口10万人比」・小児科は「15歳未満人口10万人比」で算出したのが次以降のグラフ。

まずは産婦人科・産科。例えば産婦人科・産科では東京都は51.6人なので、産婦人科・産科を利用する可能性が高い15～49歳女性10万人あたり、該当医師は51.6人いることになる。逆算すれば該当人口約1938人あたり産婦人科医師が1人。

該当人口数比率で産婦人科・産科医が一番多い都道府県は鳥取県。次いで和歌山県、長崎県が続く。少ないのは埼玉県で30.3人となり、2倍強の開きがある。とはいえ、その鳥取県でも人数は64.0人。産婦人科医1人あたりで逆算すると約1563人にもなる。

続いて小児科。

小児科は鳥取県がもっとも多く181.7人、次いで東京都の155.1人。一番少ないのは茨城県の83.4人で次いで宮城県の88.3人。鳥取県は産婦人科・産科でも最上位にあり、埼玉県は産婦人科・産科では一番少ない都道府県。多様な事情がありそうな雰囲気ではある。

今件はあくまでも単純な人口比率で、実際には人口の過密感や交通の利便性、医療そのものの質など、多様な要素を加味した上で「医療の密度」を考察する必要がある。また、該当する対象の人すべてが一度に、同時に妊娠状況や発症となり、対象診療科への診察を必要とする場面がくるはずも無い。一方で概要的な指標としては、十分に役立つ値ではある。

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