「新人はつらいよ」〜入社するだけで価値ある存在の彼らを大切にしましょう〜
■新人さんは入ってくれるだけで価値がある
このコロナ禍の中、全国各地で新卒新人を迎え入れることができたというニュースが入ってきています。入った時期は本当に大変なものの、大変めでたいことですね。
不況期や混乱期に入社した人たちは活躍すると、いろいろな人が言っていますし、私も実感があります。ぜひ頑張って欲しいと思います。
新人さんが入社すると、もちろん育成コストはかかるのですが、それに代えがたい多大なメリットが組織に得られます。新人さんは入ってくれるだけで価値があるのです。
(価値その1)暗黙知の顕在化
その価値はいろいろあるのですが、例えば旧人が新人にモノを教える機会が増えることで、自身の持つ暗黙知を顕在化させることができます。
潜在的な「不文律」は意識できないので変えにくいのですが、顕在化されれば意識の光に照らすことで批判的に検証できるため、知識の改定もできます。新人に教えているうちに「なぜこれをするのか」と聞かれ、「そう言えば、そうだね。これいらないかも」と改善が起こるというわけです。
新人は旧人から見れば異文化の人なので、僕らが後生大事に守っている賞味期限の過ぎたマイルールを「それって不要じゃないですか?」と言ってくれるのです。
(価値その2)ネガティブフィードバックが自然にできる
また「学年」という序列が異様に幅をきかせている日本においては、よいか悪いかは別として、若い人はいじりやすい、突っ込みやすいことも組織にとっては価値です。
しかめつらのおじさん達には「鼻毛出てますよ」と指摘しにくいが(指摘すると怒ったりするし。感謝すべきなのに)、新人には余裕で言えるからです。新人がいろいろ注意されているのを見て、大人達はそっと自分達も改善できる。
(価値その3)社内ネットワークのハブができる
新人は社内ネットワークのハブになってくれます。中高年からみれば、若いだけでかわいい存在なので、いろいろな人が気にかけてくれるでしょう。そして、新人は「誰それさんからこんなこと教わった」と社内にバズってくれます。大人同士ではけして遠慮して言わない持論を新人には偉そうにぶつことができ、それで社内言論活動なども活発化するわけです。
(価値その4)組織の人員構成が自然になる
若くて未熟である人と、歳をとり成熟した大人がバランスよくいることで、組織全体の人材フローがスムーズになることも大きなメリットです。未熟な人ばかりでも、成熟した人ばかりでも、組織は活性化しません。
例えば、どこかのニュータウンみたいに組織の中にいる人々がみんな似たような年齢で、一斉に各自の人生のプライムタイムを迎えてしまっては組織運営は大変やりにくい。
組織は上に行けば行くほどポストは少ないです。そのため、適任者が徐々に時を経て次々と出現するような年齢構成の組織が運営しやすいのです。組織はピラミッド型が基本だから、若い人が多い方がやりやすい。
■こんな価値ある新人さんに優しくしてあげよう
などなど。新人が入ってきてくれることの価値は、まだまだありますがこれぐらいにしておきます。このように挙げてみると、いかに新人さんが組織にとって大事かが改めて感じられます。
ありがとう、新人さん。
よくもまあ、こんな大変な役割を引き受けてくれているものだと、もともとその組織にいる人たちは感謝すべきではないでしょうか。こんな負荷をいきなりかけられていることが五月病と呼ばれる新人の入社直後のモチベーションダウンの原因の一つではないかとすら思えます。
旧人たちは新人から学ばせてもらい、様々なメリットを享受しているのですから、かわいがってあげ、いろいろ教えてあげることぐらいは優しくしてあげていただきたいと思うのです。
僕ら大人はこういうことを重々理解して、優しい気持ちで彼らを育てる努力をしなければならないと思います。若者は未来への希望であり、将来の社会や自分達を支えてくれる存在なのですから。