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子供達のアトピー性皮膚炎の状況をさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 理不尽なかゆみにはストレスも大きなものとなる。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・アトピー性皮膚炎の被患率は小学生で3.26%、高校生でも2.27%。

・男女別では女性の方が被患率は低い。

・大よそアトピー性皮膚炎の被患率は減少傾向。

大人と比べて子供達が発症しやすい疾患の一つにアトピー性皮膚炎がある。発症の要因は多種多様なものが考えられるが、特定の原因や根源から治療を行う医療方法はまだ見つかっていない。また発症した場合にはかゆみを伴うため、当事者に大きな肉体的・精神的な圧迫となる。この病症に関する子供達の発症状況を、文部科学省が2017年12月に発表した「学校保健統計調査」の内容から確認する。

まずは最新値となる2017年度における学校種別・年齢別のアトピー性皮膚炎の者の割合。

↑ アトピー性皮膚炎被患率(2017年度)
↑ アトピー性皮膚炎被患率(2017年度)
↑ アトピー性皮膚炎被患率(2017年度)(年齢別)
↑ アトピー性皮膚炎被患率(2017年度)(年齢別)

5歳から6歳に成長すると値が有意に高まり、10歳ぐらいまでは3%強と高い値を示す。この年齢は小学校時代に該当する(大よそ6歳から12歳までが該当する)。小学校の環境がアトピー性皮膚炎を誘発するのでは無く、「小学校に進学して身体検査などを綿密に行う」「保護者の健康意識が高まる」などの理由から、アトピー性皮膚炎が”発覚する”ものと思われる(【メルクマニュアル医学百科の「アトピー性皮膚炎」】の項目によれば「この病気の患者の大半は5歳までに発症し、多くは1歳未満で発症します」とある)。

中学校へ進学するにつれて値が低くなるのは、身体的な成長に伴う抵抗力の向上によるものと考えられるが(同じく医学百科では「小児期に生じたアトピー性皮膚炎はしばしば成人期までに消失したり、大幅に軽くなったりします」とあり、身体的な成長とともに治まる言及が確認できる。また伝染性は無いため、開放的な環境下に置かれたのが原因で治癒するのでは無いことが分かる)、このデータだけでは確証は持てない。一方で高校生でも2%強との値は、50人に1人(2クラスに1人程度)はアトピー性皮膚炎を有しているとの実態を示していることになる。

これを男女別に見ると、一様にして女性の方が被患率は低い。

↑ アトピー性皮膚炎被患率(2017年度)(男女別)
↑ アトピー性皮膚炎被患率(2017年度)(男女別)

幼稚園から高校まで男女間では男性が女性よりも被患率が高い。原因は不明だが、中高生の場合は「女性の方が生育が早く、体力が付きやすいから」と考えることができる(その場合でも幼稚園・小学校の説明はつかない)。ホルモンの影響によるもの、あるいは遺伝子レベルでの男女の差異によるものとの説もあるが、まだ類推の域を出ていない。この状況は喘息でも確認されており、因果関係はともあれ相関関係のある事象として、同じ要因が一因として想定されるとの点で、注目すべき動向に違いない。

最後に経年推移。

↑ アトピー性皮膚炎被患率推移
↑ アトピー性皮膚炎被患率推移

いくぶんの起伏、順位の変動はあるが、大よそアトピー性皮膚炎の被患率は減少傾向にある。特に幼稚園児の減少傾向は顕著なもの(人数では無く率なので、子供の人数そのものの減少とは何ら関係が無いことに注意)。数字動向だけではその原因をたどることはかなわないが、上記の通り原因こそ今なお不明ではあるものの、関連性を有する事象は多数確認されており、対策などが講じられているのも減少の一因だろう。

アトピー性皮膚炎は見た目、そしてかゆみの病症も併せ、子供には精神的・肉体的に大きな負担となる。また対症療法においても負担は多大なものとなる。理不尽さを覚えることも多いだろう。周囲の人においては、十分以上の配慮を願いたいものである。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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