今年の夏は結局、猛暑だったのか?冷夏だったのか?
8月も終わりです。夏の前は「冷夏予報」の声もあり、盛りには「記録的猛暑」と言われた今年の夏、結果はどうだったのでしょうか?
冷夏傾向と猛暑傾向が同居
気象の世界では、6月~8月が「夏」と扱われます。
この3か月間の気温を平年と比べると、結果は上図の通りです。「九州など西日本は冷夏傾向」「関東から北の太平洋側は猛暑傾向」だったということになります。
ただし、そう単純ではありません。
西日本でも7月下旬~8月上旬は高温でしたし、関東から北では8月なかば以降、夏らしくない天気・低温が続きました。
ひとくくりに「冷夏」「猛暑」と言える夏では、なかったわけです。
大気はバランスをとろうとする
この夏、気温が大きく変化した原因は、夏の太平洋高気圧が、シーズンを通しての仕事ができなかったためです。
太平洋高気圧は、7月下旬~8月上旬の夏のピークに強まり、高温をもたらしましたが、徐々に南に後退。雨雲や涼しい空気の侵入を許すことになりました。
ただ、気温は変動するのが正常な状態です。変動なく、ずっと高止まりしているほうが問題かもしれません。
山が高ければ、そのぶん谷は深くなるものです。8月の高温後の低温は、大気がバランスをとろうとした結果とも言えます。
終わりにしたい “ワンフレーズ夏予報”
毎年、夏前になると「今年は猛暑ですか?冷夏ですか?」と聞かれますが、季節はなかなか単純化できません。
今年のように、ひと夏の間に、暑い時期もあれば、不順な天候の時期もあるのが普通です。
“ワンフレーズ夏予報”は、情報の伝え手も、受け手も、そろそろ卒業する頃かと思います。
ちなみに、夏前に「エルニーニョだから冷夏」と単純化して報じられることもありましたが、最近の研究によると、近年は関連が不明瞭という報告が出ています。
■『エルニーニョ=冷夏?』(8月2日/最後の段落に記載)