XSR700がレトロなダートレーサーに!? 欧州ヤマハが仕掛ける最新カスタムとは
ヤマハEUから新たなYard Builtカスタムが登場。「Swank Rally 700」はこれまでもSR400、XJR1300、XV950などヤマハ車をベースにスタイリッシュなカスタムモデルを手掛けてきた「Deus」とのコラボによる作品である。
個性が光る欧州発のカスタムプロジェクト
Yard Builtとは欧州に本拠を構えるEUヤマハが仕掛けるカスタムプロジェクトのことで、現行のヤマハ車をベースに世界的なビルダーが仕上げたハイクオリティなカスタムが特徴。
それぞれのビルダーの個性が表れたコンセプチャルな作品が多く、そこで話題になったカスタムが今度は逆に量産市販車として発売されることも多い。前例を挙げるなら、XJR1300ベースのスポーツヘリテイジモデル「XJR1300C」やMT-09ベースの「XSR900」などもそうだ。
XSR700ベースのレトロ感漂うオフ仕様
そして今回発表された「Swank Rally 700」は、並列2気筒の軽快なスポーツネイキッドとして人気のMT-07のメーカーズカスタム版とも言える「XSR700」をベースに、オフロード風味で仕上げたものだ。
フロントの倒立フォークと19インチホイールはXTZ1200スーパーテネレから移植されたもので、リヤサスもオーリンズ製モノショックに換装。ハイフェンダーとアルミ製ハンドガード&アンダーガード、そしてブロックタイヤを装備するなど完全なオフロードスタイルではある。
その一方で角張ったフューエルタンクや肉厚のシングルシートとゼッケンプレート風のシートカウルなど、70年代のモトクロッサーを思わせるレトロ感を漂わせているのがイイ感じだ。
素性の良さを生かしたボルトオンカスタム
また、水冷並列2気筒のエンジンとそれを吊り下げる構造のスチールフレーム、リンク式リヤショックと湾曲したアルミスイングアーム、ウェーブタイプの前後ディスクブレーキなどはXSR700と共通に見える。
ということで、まとめると「Swank Rally 700」はXSR700の車体とエンジンの素性の良さをそのまま生かしつつ、足まわりをオフロード仕様に強化し、見た目をレトロ風にアレンジしたカスタムということができる。
Yard Builtは元々が切った貼ったはせずに、ボルトオンで装着できるパーツをアッセンブリーする手法がコンセプトでもあるため、実は見た目以上にノーマルの部分が多いのだ。
“ゆるオフ”系が最近のトレンド
WEBにアップされた画像からは、ビンテージファッションに身を包み、ダートコースや草原のような場所で仲間たちとサンデーラリーを楽しむ様子が伝わってくる。
目を三角にして勝ち負けやタイムを競うレースとは異なる、レクリエーションスポーツを楽しむための道具。これもまた、最近のトレンドである“ゆるオフ”系を体現したモデルと言えそうだ。
テネレ700との棲み分けは!?
そこでひとつ気になるのが、最近デビューした「TENERE700」の存在だろう。
往年のラリーマシンの名を冠したミドルアドベンチャーだが、テネレもベースは言わずと知れたMT-07である。
公表されているスペックから察するにエンジンはほぼノーマルに近く、そう考えるとこの70ps強を発揮する不等間隔爆発の270度クランクを持つ並列2気筒が如何に良くできたエンジンであるか分かるというもの。
もちろん、テネレは専用のフレームと足まわりが与えられた量産市販モデルなので、カスタムモデルである「Swank Rally 700」と単純比較はできないが、両方ともオフロード主体でラリーテイストを持ったモデルということを考え合わせると、今後その棲み分けをどうするのかが興味深い。
まあ、これはストリートモデルとして市販化された場合の話ではあるのだが、今までの経緯からするとあり得ない話ではない。次々に生まれるこうしたユニークで力強いムーブメントから目が離せないことだけは確かだ。