最大生産国は米国で日産1861万バレル…世界各国の石油生産量実情(2022年時点)
多様なエネルギー資源が開発されている現在でもなお、化石燃料の代表格で産業、経済、さらには人々の社会生活そのものを支える柱となっているのが石油(原油)。その石油の各国における生産量の動向を、アメリカ合衆国のエネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)による提供値を基に確認する。
まずは石油生産量トップ10。今項目は現時点で2020年までの値が取得可能なため、2020年の値で上位を抽出し、その順位で5年分の動向も併記した。
意外に見えるが、EIAの公開データの上では、現在石油生産量のトップを行くのはサウジアラビアでもロシアでもなく、アメリカ合衆国。しかもこの数年で大きな伸びを示している(直近年では前年比で落ち込んだが)。これは言うまでもなく、同国によるシェールガス・シェールオイルの商業ベースでの量産技術開発とその普及に伴い、生産量が飛躍的に増加した結果。カナダもその恩恵を受けており、アメリカ合衆国ほどではないものの、確実な伸びを示している。
続いてこの生産量トップ10の国それぞれにおける、自国内の石油消費量を併記する。単純な足し引きで概念レベルの考察となるが、生産量よりも消費量が多い場合には、どこかから輸入しなければならない。逆なら備蓄や輸出が可能になる。なお消費量は現時点で2019年分の値が最新値であることから、その値を適用する。
現実にはもっと複雑で、石油のうち具体的にどのような生成物なのかあるいは原油なのか、そして国内に精製施設のあるなしも考慮しなければならない。さらに精製品を直接輸出入する場合もある。もちろん原油ベースにおける品質の違いもあり、「生産量 > 消費量」でも輸入する場合も少なくない。あくまでも概念的、目安的なものと見てほしい。
アメリカ合衆国は大量の石油を産出しているものの、それでもなお石油消費量の方が多い。他方、石油輸出国として知られているサウジアラビアやロシアでは大幅に生産量が超過しており、その実情を改めて認識できる。UAEやイラク、イランも同様。他方中国は絶対量こそアメリカ合衆国におよばないものの、大幅に消費量が生産量を超えており、不足感が強い状態となっている。
アメリカ合衆国の石油事情の変化は、シェールガス・オイルの採掘に係わる技術革新と、その普及によるところが大きい。元々存在は確認されていたが、それが採算ベースで採掘できるようになったことで、同国のエネルギー戦略にも大きな影響・変化が生じている。
ちなみに石油消費量の上位陣は次の通り。
アメリカ合衆国、中国の上位は想像通りだが、インド、日本、ロシアはともかく、サウジアラビアも上位に入っているのに意外さを覚える人もいるかもしれない。また、日本の石油消費量の減少が目立つ形となっているのも覚えおくべきだろう。
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