また1つ、ゴルフ界の名コンビ消滅。ローリー・マキロイが9年間の相棒キャディと突然の決別。
またしても、ゴルフ界を驚かせる衝撃のニュースが流れた。
メジャー4勝を誇る元世界ナンバー1、北アイルランド出身のローリー・マキロイが、9年間ともに戦ってきたキャディのJP・フィッツジェラルドとのコンビを突然解消したという。
マキロイに近い存在がロイター通信に伝え、その第一報を受けて複数の欧米メディアが「マキロイがキャディを解雇」「今週の世界選手権、ブリヂストン招待からは新しいキャディで臨む」と、すでに報じている。
今のところ、マキロイ本人からのコメントはなく、マキロイのマネジメント側からも「今週のブリヂストン招待の会見で話す」と返答があっただけ。9年間のコンビになぜ終止符が打たれたのか、理由や詳細は現在は不明だ。
【素晴らしいコンビだった】
マキロイとフィッツジェラルドの二人三脚の歴史は、マキロイのプロゴルファーとしての歴史そのものだと言っても過言ではない。
これまでマキロイが挙げたメジャー4勝は、すべてフィッツジェラルドとともに達成したもの。2人が力を合わせて勝ち取ってきたものだ。
2週前の全英オープンでも、2人のチームワークは威力を発揮したばかりだった。初日の出だしから躓き、不甲斐ないプレーをしていたマキロイに6番ホールで叱咤激励したのはフィッツジェラルドだった。
「一体、何をやっているんだ?オマエは、あのローリー・マキロイなんだぞ!」
そんなふうにボスに対してストレートに檄を飛ばせる存在は貴重だ。
「JPの言葉で僕はハッとさせられた。そこから先はショットやパットに入るたびに『僕はローリー・マキロイだ』と自分に言い聞かせた」
“そこから先”のマキロイはすっかり立ち直り、2日目は68をマークして巻き返した。「あんなスタートを切ったのに、こうやってアンダーパーの域まで挽回できて、夢見心地だ」
しかし、3日目の10番で喫したダブルボギーが「JPのミスクラブ(クラブ選択への助言・判断のミス)」と囁かれた。その出来事だけが今回の決別の直接的な原因だとは考えにくいが、優勝のチャンスがある位置まで巻き返しながらも4位に終わったこと、2014年の全米プロ以後、ずっとメジャー勝利から遠ざかっていることなど、元世界一のマキロイが望む結果が現実として出ていないことは数字やデータが示している。
今季はマキロイ自身、肋骨の疲労骨折と診断され、序盤で戦線離脱を余儀なくされるなど肉体管理上の問題もあった。
そんな中、マキロイは何を思って長年の相棒と別れることを決意したのか。その理由は、今週水曜日の会見で明かされるはずだ。
【消えゆく名コンビ、奮闘する名コンビ】
今年6月の全米オープンが終了した直後、米ツアーにおいて誰もが認める名コンビだったフィル・ミケルソンとキャディのジム・“ボーンズ”・マッケイが25年間のコンビを解消した。
彼らの場合は、解雇でも喧嘩別れでもなく、「そういう時が来た」「お互いが新しい道を行く」というものだった。ミケルソンは弟ティムをキャディに付け、ボーンズはテレビのリポーターとして契約を結び、全英オープンからはマイクを持って働き始めた。
ミケルソンらが新しい人生を歩み始めた一方で、「名コンビ」が1つ消滅してしまったことを淋しく思うファンも少なくない。だが、ゴルフ界にはミケルソン&ボーンズの25年の歴史を上回るロングランの名コンビが育っていくだろうという見方もあり、その筆頭に挙がっていたのが、ジョーダン・スピースとキャディのマイケル・グレラー、そしてマキロイとフィッツジェラルドだった。
スピースとグレラーは見事のチームワークで全英オープンを制覇。その一方で、全英4位に終わった直後、マキロイはフィッツジェラルドを解雇。
厳しい戦いを強いられるロープの内側では、絶対的な信頼関係がなければ勝利は掴めない。マキロイとフィッツジェラルドの間に具体的に何があったのかは本人たちの問題だが、2人の間で絶対的な信頼関係が崩れてしまったことは想像に難くない。
マキロイにとってフィッツジェラルドとの決別は、これからも戦い続けていく上では苦渋の選択だったのかもしれないが、名コンビがまた1つ消滅してしまったことは、歴史も1つ消えてしまうようで、ファンにとっては驚きであり、そして淋しい出来事だ。