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散らかった机が、「やらなきゃ…」という焦りを助長する科学的根拠(心を整えるための机片付け)

学生時代、試験勉強中に床や風呂の汚れが気になり、つい掃除を始めてしまい、気が付いたら深夜……なんて経験をしたことはないでしょうか。
作業に没頭していても、「あ、これもやらなくては!」と別のタスクが頭をよぎると、集中力が一気に途切れます。一度そうなってしまうと、「集中しなきゃ!」といくら思っても、誘惑に負けて気が散ってしまうでしょう。

視覚が脳に与える影響

プリンストン大学の神経科学機関の研究(「Interactions of Top-Down and Bottom-Up Mechanisms in Human Visual Cortex」」 Stephanie McMainscorresponding author and Sabine Kastner・2011年)によると、視界に、体系化されていない複数種類の刺激が加わるほど、脳の集中力は低下するそうです。
人が視覚情報に優先順位をつけるとき、「ボトムアップ型注意」と「トップダウン型注意」の2種類が相互に働いています。部屋の片付けに関連してくるのが、「ボトムアップ型注意」による作用です。どんなに頭では「気にしない」と考えて作業していたとしても、視界に余計な情報が一つでも入ってくることで、集中力は減退してしまうのです。

「勉強机に漫画を置いていると、ついつい読んでしまうから、本棚にしまいましょう」という、幼少期のお母さんの注意は、勉強以外のものを視界に入れないことで、ボトムアップ型注意をコントロールする、理にかなった注意だったのです。

「やらなければ」という焦りは、集中力を低下させる元凶

タスク管理術の名著『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(デビットアレン著、二見書房)から、部屋の片づけにも応用できるいくつかの言葉を引用します。

「やらなければならないさまざまなことが、漫然と頭を占有しつづけている。これこそが、時間とエネルギーをもっとも消費しているものの正体だ」(ケリー・グリーソン)

「頭の中にある未完了のタスクは良心を苦しめ、エネルギーを消耗させる」(ブラーマ・クマリス)

「意味が異なるものが同じ場所に積み上げられていると、その中身が何であるかを見るたびに考えなくてはいけない。それにうんざりしてあなたの頭はそれについて考えなくなってしまう」(デビット・アレン)

自宅での作業は、「未完了のタスク」との戦いです。たまった洗濯物、返信していない同窓会の招待状、挫折した資格の参考書、子供の入塾パンフレット…。

「やりかけの何か」を思い出すたびに、あなたの「脳のCPU」は、喰われていきます。

なので手っ取り早く集中したいのなら、メモ用紙を手に、やらなきゃいけないことを、吐き出しましょう。そして、机の上のものを

バーーーーッと片づけてください!!!

強制的に未解決事項を視界から消すことができます。適切な保管場所と、適切なリマインダーがあれば、いったん視界から消してしまってOKです。目の前のタスクだけに集中できる環境を、片づけで構築しましょう。

未解決事項を片付けてしまうのは、最初はちょっと抵抗があるもの。メモ用紙や、リマインドツールに書き出してタスクを一元管理すれば、もの自体は片付けてしまっても安心です。

【米田まりな】1991年生まれ。整理収納アドバイザー1級。モノを愛してやまない人に向けた「捨てない片づけ」を考案。著書に「あの人に、イライラするのは部屋のせい」「集中できないのは部屋のせい」(PHP研究所)「捨てない片づけ」(ディスカバー21)。日経新聞NIKKEIプラスワンにて連載中。東京大学経済学部を2014年に卒業後、総合商社でベンチャー投資を担当し、現在は不動産ディベロッパーに勤務。平日は会社員として働きながら、副業で片付けの普及活動をしている。

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