「毎朝しっかりと朝食を食べている」中学生は79.9%
成長期においては特に欠かせないとされる朝食は、どのような摂取状況を示しているのだろうか。若年層を中心とした朝食の欠食状況を、内閣府が2022年6月に発表した2022年版となる「子供・若者白書」の内容などから確認する。
昨今の「食育」の言葉に代表されるように、心身が大いに育まれ、人格形成の多分を成す成長期においては、健全な食生活の環境下におかれることが、豊かな人間性を構築する大きな要因として重要視される。しかし現実問題として、朝食を欠いている若年層が少なくないのも事実。
無論朝食を抜く理由としては「寝起きが悪い」「朝食時は食欲がわかない」などの個人の特性によるところもある(無理をして食べることは逆に生活の質の上でマイナスとなる)。一方で子供当人や朝食の用意をする保護者の時間上の都合、さらには手間を嫌がることの結果として、子供本人は朝食を欲しているのに、摂取できない事例も想定できる。
「子供・若者白書」では以前、文部科学省の「全国学力・学習状況調査」の結果を用い、小中学生の朝食摂取状況のデータを掲載していた。そこで原典となる「全国学力・学習状況調査」をたどり、最新の値を反映させたのが次のグラフ。2022年度時点では毎朝しっかりと朝食を摂る人は、小学生では84.8%・中学生では79.9%にとまっていた。なお2011年度は震災のため、2020年度は新型コロナウイルスの影響で調査が中止され、結果は存在しない。
現状としては数%の小中学生が朝食を「まったく食べていない」「あまり食べていない」とし、10%内外は「食べてはいるが毎日ではない」状態。経年で比較するとほんのわずかずつではあるが小中学生ともに常時食べている人が減り、どちらかといえば食べている人やあまり食べていない人が増えている。
気分的な問題や生活リズムの特性、時間の無さ、あるいは個人のポリシーによるものなど、理由はさまざまだと推測されるが、本人が食事を望んでなお欠食せざるを得ないケースにおいては、状況の改善を願いたいところ。
また男女別に見ると、幼い時は女性の方が高い値を示すが、成長を重ねると男性の方が欠食率は高くなる。こちらは厚生労働省の「国民健康・栄養調査」を基にしており、2019年の値が直近のものとなる(2020年・2021年は新型コロナウイルス流行の影響で調査が中止されている)。なお「国民健康・栄養調査」における欠食とは「食事をしなかった場合(何も食べない)」以外に「錠剤などによる栄養素の補給、栄養ドリンクのみの場合(錠剤などのみ)」「菓子、果物、乳製品、嗜好飲料などの食品のみを食べた場合(菓子・果物などのみ)」も該当する。
おおよそ3%前後が「菓子・果物などのみ」の欠食で、残りは本来の意味での欠食にあたる「何も食べない」。男性は年が上になるに連れて「何も食べない」が増えていく。現状としては男性の15~19歳では19.3%が欠食との結果が出ている(ただし男性15~19歳は全体で130人のみのため、統計上のぶれが生じている可能性はある)。経年推移ではやや値の揺れが大きいが、傾向的な動きは無く、男女とも15~19歳は12%前後と高め、1~6歳と7~14歳は6%前後と低めの値で推移している。ここ数年、女性15~19歳の欠食の値が減少しているように見えるのが主な傾向だった動きか。
「国民健康・栄養調査」における「朝食抜き」の定義を見返す限り、シンプルな朝食スタイルとして栄養補充系の菓子や果物のみのパターンを確立し、自分自身では朝食を抜いている意識はまったくなくとも、朝食を欠食しているとカウントされている可能性は高い。朝食時間帯はまだ食欲が生じず、あっさりとしたもので済ませてしまう人もいることを考えれば、朝食用の食材が多様化する昨今、見方次第ではもう少し朝食欠食率の値は落ちるのではないかと考えられる。例えば2019年の男性15~19歳にしても「菓子・果物などのみ」を欠食ではないと判断すると、純粋に朝食を欠食しているのは10.8%となる。
ともあれ、健康維持・増進のための食習慣としてはもちろんだが、家族とのコミュニケーションの場面としても食事は重要。とりわけ成長過程にある学生においては、当人が望むのならば、そして身体上必要であると判断されるのなら、さらなる朝食の充足が求められよう。
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