台風5号は史上2回目の岩手上陸!ノロノロ台風で影響長引く…時間差で起きる災害も警戒を:気象予報士解説
台風5号はまもなく、宮城または岩手に上陸する見通しです。(※追記:12日8時30分頃、台風5号は岩手県大船渡市付近に上陸したと気象庁が発表しました。)
宮城でも岩手でも、上陸するのは気象庁が統計を取り始めた1951年以降、2回目のことです。
台風はこのあとも、せいぜい時速15~20km程度の自転車並みの速度でしか進まないため、すでに観測史上最大の雨が観測されている地域もある中、太平洋側・日本海側ともに影響が長引きそうです。
雨のピークを過ぎても時間差で起きることがある災害も含め解説します。
なお、関東以西の雷雨や酷暑の見通しについては記事後半に記載しています。
夜にかけて広範囲で降り続く雨
今回、台風5号はゆっくりした速度で進んできたこともあり、台風の雨雲の形がほぼ円形のまま、あまり崩れずに東北を横断する見通し(下記の衛星画像参照)。
しかも、その円形の雨雲が夜にかけて東北地方をほぼすっぽり覆った状態なので、太平洋側でも日本海側でも夜のはじめ頃まで、警報級またはそれを超える雨の降り方が続くことになります。
雨が収まってきたら外の様子を見に行きたい人もいると思いますが、できる限り明日の朝、明るくなってからにしてください。
「時間差」で発生する災害にも警戒を
川幅の狭い、小さい川であれば、雨が激しく降ってから一気に増水することが多い一方で、北上川や最上川などの大きな川の場合、雨のピークから少し経ったあと時間差で氾濫することがあるのが特徴です。
そのため、雨がその瞬間に激しいかどうかではなく、気象HPのキキクルや洪水予報を見て危険度を判断してください。
キキクルでは紫色、洪水予報では「氾濫危険情報」が、災害一歩手前の状態です。
また、竜巻などの突風も、台風中心から離れたところで起きる傾向があります。
竜巻は発達した積乱雲が原因で発生するため、たとえ台風が去ったと思っても、黒っぽい雲が見えないか空の様子の変化に気をつけてください。
関東~九州は40度迫る暑さ、雷雨の範囲広がる
関東以西では晴れるところが多いですが、前日までと比べ雷雨が発生しやすくなりそうです。
特に関東北部や、甲信~東海の内陸で発雷確率が高くなっています。
また暑さも厳しく、関東甲信や名古屋、そして九州内陸などで40度に迫る最高気温が予想されています。
新たな台風より新たな熱帯低気圧に注意
11日18時、台風5号よりもさらに南東に離れた海上で、台風6号が発生しました。
が、13日には熱帯低気圧に変わる予想で、直接的な影響はない見込みです。
一方、日本の南の海上で新たに発生している熱帯低気圧(上図で2つある「熱低」のうち西側)は、このあと台風に発達して本州付近へ北上してくるおそれがあり、今後の情報に注意が必要です。
週間予報では、15日(木)~17日(土)にかけて関東~近畿で曇りや雨のマークが多くなっています。
まだ台風にまで発達するとは限りませんし、発達したとして本州に近づくかどうか予報にブレがありますが、旅行や帰省、イベント参加などの予定がある人は、できるだけスケジュールを柔軟に変えられるよう備えておいてください。
※筆者のプロフィールからフォロー(リンク先の「+」のボタン)していただくと、日々の天気や、テレビではなかなか話せない気象予報の裏側を書いた記事を逃さず読むことができます。