平日の携帯インターネット平均利用時間は小学生40分・中学生88分
平日1時間以上携帯ネットの利用率、小学生は2割・中学生は半数
便利で様々なことができるため、誰もが夢中になる携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方、以下同)を用いたインターネットへのアクセス(今件ではゲームの利用を除いた、メールやブラウザへのアクセス、ソーシャルメディアの利用を指す。以後「携帯ネット」と表記)。分別のつかない子供は過剰な利用が心配される。その実情を文部科学省が2017年8月に発表した全国学力・学習状況調査(※)の最新版による公開値を基に確認する。
平日に携帯電話を用いてインターネットにアクセスしたり、メールや通話をする利用傾向の調査結果は以下のグラフの通り。小学生は携帯電話そのものを持っていない、あるいは所有していてもインターネットにアクセスする許可をもらっていない事例が多く、中学生と比べると低い値に留まっている(今件は保有していない人も含めた、全体の平均値)。なお1時間未満の回答選択肢には「持っていない」以外に「30分未満」「30分から1時間未満」がある。
今件ではインターネットにアクセスしていても、その利用理由がゲームだった場合は含まれていない。昨今のゲームの多くがインターネットへのアクセスを前提とするものであることを考えると、総合的なネットアクセス傾向はもう少し高い値となる。
とはいえ、中学生では半数近くが平日でも1日1時間以上メールや通話、ブラウザによるウェブサーフィン(多分にソーシャルメディアへのアクセス)などを行っており、平均時間は1.46時間、つまり87.6分に達しているのが実情。ちなみに中学生では全体の1割近くが「1日4時間以上携帯ネットや通話をしている」と回答している。今件調査は小中学生限定だが、仮に高校生にも同様の調査をすれば、当然もっと高い値となるに違いない。
携帯ネットと学力テストの結果の相関関係
時間の限りは誰もが同じなため、携帯ネットの時間が長ければ長いほど、他の時間が削られてしまう。そしてそれは何らかの形でひずみを生むことになる。保護者が気になるひずみの一つが学力にあるわけだが、少なくとも相関関係においては次のグラフの通り、「携帯ネットの時間が長い子供ほど、学力テストの正答率が低い」結果が出ている。
この結果は直接の因果関係、つまり「携帯ネットの時間が長いのが原因で、学力テストの正答率が低くなる」を意味しない。あくまでも「携帯ネットの時間が長い子供ほど、正答率が低くなる傾向がある」に過ぎない。単純に元々低正答率を出す学力の子供ほど、携帯ネットの時間が長い場合もありうる。
とはいえ、少なからぬ因果関係も想起できる関係に、携帯ネットの時間と学力があることにも違いは無い。今件結果はその相関関係を立証すると共に、因果関係についての可能性を一つ積み増すもの。
一方、携帯電話を持っていない人の値が、「30分未満」と比べてほぼ同率、むしろほとんどの項目でやや低めなのも興味深い。やはり相関関係であることに留意が必要だか、「平日でも利用を禁止するよりは短時間ではあるが利用させた方が良い」との大義名分のヒントとなるかもしれない。
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※全国学力・学習状況調査
2017年4月18日、国公立及び私立の小中学校に対し悉皆調査方式(標本調査ではなく全体を調べる)で行われたもので、実施学校数は小学校が1万9645校、中学校が9982校。教科調査(学力テスト)は国語A・Bと算数(数学)A・Bが実施されている。なお直近年度となる2016年度は熊本地震により、熊本県の全校や宮崎県、大分県の一部の学校で同一期日での調査実施が見送られている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。