日本政府が拉致問題で北朝鮮側「報告書」の受け取りを拒否…拉致問題の行方は
拉致被害者の再調査をめぐる日朝の非公式協議で、北朝鮮側が今春、第2次世界大戦が終わる前後に北朝鮮地域で亡くなった日本人の遺骨や、在日朝鮮人の帰還事業などで渡航した日本人妻に関する報告書を提示したものの、日本側が受け取りを拒否していたことがわかった。共同通信が17日、日朝外交筋の情報として報じた。
日本側が受け取らなかったのは、拉致被害者の調査を優先実施するよう求めてきたのに、今回の報告書にはその内容が含まれていなかったからだ。
今後、日本側が調査期限とみなす7月までに大きな進展が出る可能性は低く、「日本政府が制裁強化に踏み切るのかが今後の焦点」とされる。
しかし実際のところ、日本が北朝鮮に対して効果的に圧力を加えられる制裁手段はほとんど見当たらない。
たとえば、一部メディアが北朝鮮産マツタケの不正輸入事件について、日本政府による「対北朝鮮圧力」と関連付けて報道していた。
しかしベテランの公安関係者によれば、実態は次の通りだ。
「朝鮮総連が北朝鮮の資金源だったのは昔の話だ。今は組織の運営維持費にも困っているぐらいで、本国にとっては出入り業者の御用聞きぐらいの存在でしかない。そんなところを捜査しても、平壌はまったく痛痒を感じないだろう」
一方、日本は国連を舞台に北朝鮮の人権問題に対する追及を強めており、北朝鮮にも相当な危機感がうかがえる。4月には、北朝鮮の国連代表部外交官が、国連主催の人権問題の討論会を妨害するという異例の事態まで起きた。
これは、日本外交の大きな成果のひとつだ。日本政府は、欧州連合(EU)とともに国連北朝鮮人権調査委員会の設置を主導。同委員会は昨年2月、政治犯収容所での虐待や処刑、飢餓などを「人道に対する罪」と初めて認定する最終報告書を発表。報告書は日本人拉致にも言及している。
ところが、日本のメディアはこうした動きにさしたる関心を示していない。
その背景には、北朝鮮本国の意向を受けた朝鮮総連が「人権問題を扱うなら今後の現地取材を許可しない」などとしてメディアに圧力をかけていることがある。
北朝鮮は人権問題の追及から逃れるために、なりふり構わずあがいている。ならば、日本も拉致問題を解決するために、メディアも一丸となった「総力戦」を仕掛けるべきではなかろうか。