患者さんが亡くなった後の病室はどうしている?ご供養はするの?
私たちの一生の間で、少なからずお世話になるであろう「病院」。
時として、病気やけがで入院することもあるでしょう。
病院に入院したら同じ病室の中には、経過や重症度が異なる患者さんもいらっしゃいます。
同じルームメイトは、元気に退院していかれる方がほとんどでしょう…
しかしその陰で、闘病の末にひっそりと亡くなられている方もいます。
亡くなられた方がいた病室。その後、どのように対処しているか気になったことはありませんか?
今回は、「患者さんが亡くなった後の病室はどうしているか?」という疑問に対してそっとお答えします…。
亡くなる時間は夜勤帯がほとんど。他の患者さんが就寝中にご遺体が引き取られます
病院で患者さんが亡くなられる場合、あくまでも私の経験上ですが夜間帯に息を引き取る方が多い印象です。
ですので、他の患者さんが寝ている間の出来事として終わっているケースがほとんど。朝起きたら、病室に誰もいなくなっていたということもあるでしょう。
実は亡くなられた患者さんの多くは、早ければ1時間もしないうちにご家族に引き取られ退院していきます。(正確にはご家族に依頼された葬儀会社の担当者と一緒に搬送されます)
ほとんどが霊安室に移動する間もないほど、あっという間…。
つまり多くの場合、闘病していた患者さんはひっそりと亡くなられ、すぐにご自宅に戻られるのです。
基本的には「清掃のみ」ご供養などはしません
患者様が亡くなられた後の病室やベッド。実は清掃だけして、そのまま次の患者さんを受け入れます。
普通の退院後の対応と一緒ですね。
(ちなみに亡くなられて退院する場合を「死亡退院」と言います)
一般的な清掃と、場合により必要な消毒をしておしまい。
ベッドにかけられていた寝具もそのまま外され、クリーニングへまわされます。(消毒が必要な場合、あまりにも汚染がひどい場合を除く)
基本的にご供養などは何もしません。何事もなかったように、日常の業務に退院後のベッドは組み込まれていきます。
霊感のあるスタッフからも「亡くなるかも…」と聞くことはあっても「まだいる」と聞いたことはない
実は今回の記事。友人から聞かれた「えっ?病院って亡くなった後の人の部屋、供養も何もしないで使いまわしているの??」という疑問がきっかけ。
そこで私自身も思った疑問。
「確かにご供養しなくても何も起こらないな…。」
という実体験。
私自身、いわゆる「霊感」などはないのですが、スタッフの中には患者さんの死期をなんとなく悟ったり、夜間のラウンド中に霊の存在を感じ取ったりする人は、過去に数人いました。
彼女たちの話していることを振り返ると、夜勤前に線香の香りなどで気配を感じるようでした。
しかし、「亡くなるかも…。」と話していることはあっても、「まだいるよ」と話したことは一度もなかったのです。
時間による経過で違いはあるのかもしれませんが、亡くなられた患者さんの魂も、きっと「縁やゆかりのあるところに戻られているのでは?」と思います。
長い看護師人生では1回だけ「ご供養している場面」を見ました
実は看護師人生で1度だけ、亡くなられた後の病室でご供養している場面を見たことがあります。
ご供養することになった患者さん(仮名:Tさん)のエピソードです。
Tさんは、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と言う疾患で入院しました。
徐々に筋肉がやせ細っていき動けなくなる病気です。
自分でできることが少なくなり、やがて寝たきりになってしまいます。
Tさんは天涯孤独で、ご家族もいない身の上。
Tさんは担当医と病棟スタッフのことをとても気に入り、「ここで死にたい」と強く希望されたのです。
その後1年経たないうちに亡くなられました。
Tさんが亡くなったのも夜間帯でした。大学病院の検体に行くことになっていたので、そのまま引き取られました。
しかし、その後。Tさんのいた個室から、ナースコールがなるようになったのです。当時病棟には「感じる」看護師が3人いました。みんな口を揃えて「Tさんだよね…」と。
普段はどっしりと構えて物静かな当時の看護師長が「みんなで供養しようか…。」と言い出しました。
お坊さんを呼んだとかではないのですが、日勤中のスタッフが多い時間帯に、集まれる看護師と担当医でTさんのいた部屋で黙祷をしてご供養したようです。(私は夜勤だったので参加できませんでしたが…。)
すると、その日以降Tさんの部屋からナースコールは無くなりました。
きっとTさんは、スタッフみんなに送って欲しかったんだろうな。
と思った出来事でした。
まとめ
病院で幕を明け、病院で幕を閉じる人生もある。けれどきっとゆかりのある所に戻るのでしょう。
だから亡くなられた後も、基本的にご供養をしなくても問題がないのだと思います。病院に残りたいと思う方はきっと少ないのでしょうね。
気持ちとして気になることもあるかもしれませんが、衛生面で捉えるとまったく問題のない処理はしています。
ですので、基本的にはご供養はなくても大丈夫と捉えておいてくださいね!