日本における消費税の歴史
今年10月の消費増税を控え、今回は日本における消費税の歴史から振り返ってみたい。
1979年9月の大平総理の所信表明において、特例国債を含めた国債の本格的な償還が始まる1985年を控えた1984年までに、特例国債依存体質から脱却するための目標が明らかにされた。この財政再建のために一般消費税の導入が図られ、10月の総選挙で国民に問われることとなったが、国民の反発は強く自民党は大敗した。
その後、1986年の中曽根政権の際にも、赤字財政を解決するために、税制を是正しようとの動きがあった。売上税法構想であるが、これは世論の反発等もあり、導入は失敗に終わる。
1988年の竹下政権時に消費税法が成立し、1989年4月からは、所得税や法人税などの大規模な減税と引き換えに消費税が導入された。
消費税導入後の1989年5月に日銀は公定歩合を3.25%に、さらに10月には3.75%に、12月には4.25%と引き上げ、完全に金融引締策へと転向した。これは消費税の導入の影響ではなく景気の過熱感というかバブルへの対処であった。日経平均株価は、1989年の大納会の大引けで3万8915円を付け、これが最高値となってバブルは崩壊する。
このように1989年4月の消費増税導入の金利への影響については、バブル期という特殊事情もあり、その影響だけを判別することは難しい。
1993年8月に38年ぶりの非自民政権である細川内閣が誕生したが、1994年には細川政権で消費税を廃止し、税率を7%とするという国民福祉税構想を突然打ち出した、しかし、これは与党内からの反対もあり翌日白紙撤回した。
1997年4月に減税の財源として消費税の5%への引き上げが実施された。財政構造改革と、この消費税の導入がその後の景気後退の要因とも指摘されたが、実際にはバブルの後遺症ともいえる不良債権処理の遅れがその大きな要因となった。
1997年7月には企業の破綻が相次ぎ、11月に入ると金融システム不安が一気に表面化した。三洋証券が会社更正法適用を申請、北海道拓殖銀行が経営破綻し北洋銀行への営業譲渡を発表。さらに証券大手の山一證券が自主廃業を届け出、徳陽シティ銀行が分割譲渡と金融機関が相次いで破綻した。
1997年4月の消費税の引き上げの影響についても、バブル崩壊後の金融システム不安などによる影響もあり、その影響だけを判別することはやはり難しい。
そして2014年4月に安倍内閣は消費税を5%から8%に引き上げた。これによって日銀の異次元緩和にも関わらず、物価が再度低迷したとの指摘もあった。しかし、急激な円高調整の反動、駆け込み需要の反動などによる影響が大きかったとみられる。国内景気そのものは世界的な景気の改善を受けて、安定的に推移した。