ABBAが再結成、世界ツアーをユーチューブで知る
ユーチューブは素晴らしい。昔の好きな歌を今、ビデオで見られる現代の手段となっている。数日前にユーチューブで見たニュースでは、スウェーデンの音楽バンドABBA(アバ)が再結成し、2019年にオーストラリアツアーを行うという。
1970年代前半、ABBAが母国語であるスウェーデン語ではなく、世界的に通用する英語で海外進出を果たし、英国ロンドンでの音楽コンテストで優勝し名が知られるようになった。有名な「ダンシング・クイーン」をはじめ「SOS」や「フェルナンド」、「マネー、マネー」、「ウォータールー」などヒット曲を飛ばし、1982年に解散した。
「ABBA GOLD」というCDアルバム(図)を買って間もない1990年代後半にミュージカル「ママ、ミーア!」というミュージカルにABBAの音楽がふんだんに使われることが決まり上演され、2008年には映画化された。ABBAはもう還暦を過ぎ、復活はもはやないと思われた。だが、4人とも生きている。子供も成人になり、孫もいる。ABBAは、2019年のオーストラリアツアーを手始めに世界ツアーを目指し、活動を復活させたという。最初にオーストラリアを選ぶのは最も熱心なファンがいる国だからだ。日本も彼らの好きな国の一つだ、とアグネタがユーチューブのインタビューで述べていたが、日本ツアーはまだ決めていない。
こんなニュースを知ることができたのはユーチューブのおかげだ。私は中学生のころにビートルズの存在を知り、高校生の時に彼らは日本にやってきた。アメリカ、イギリスのロックやポピュラーをよく聞いた。日本の演歌にはない若者の心を打つ音楽を感じたからだ。ちょうど日本経済新聞の私の履歴書で9月に連載された、音楽評論家であり作詞家でもある湯川れい子さんがDJをやっていたころに熱心に聞いていた。
最近聞いた歌では、「You don’t own me(私はあなたのモノではない)」という歌を昔はレスリー・ゴーアが歌っていたが、最近、グレースという若い歌手が歌ってヒットさせている。この歌は男の奴隷になりたくない、という若い女性の心を歌っており、「私はあなたのおもちゃじゃない」というフレーズがある。当時の米国は人種や男女の差別が激しかったことを反映させた歌である。これまで人種や男女の差別を排除しようとしてきた米国だが、この歌のヒットとトランプ大統領の出現は関係しているのだろうか。
昔の歌を最近の歌手がカバーしている音楽はこれだけではない。英国の女性グループ、ザ・サタデーズはビートルズの「ミスター・ポストマン」をカバーしているし、リトル・エバが歌っていた「ロコモーション」はカイリー・ミノーグという歌手がカバーしている。
「シェリー」を大ヒットさせたフォーシーズンズの物語をつづった映画「ジャージーボーイズ」がヒットした。映画の中でも歌われた「君の瞳に恋してる」という曲は、数年前、携帯通信会社のコマーシャルにも使われた。
ユーチューブは、時には残酷で、「マサチューセッツ」や「メロディフェア」などのヒット曲を飛ばしたビージーズの3人の兄弟メンバー、ロビン・ギブ、モーリス・ギブ、バリー・ギブのうち、2人がすでに他界したこともユーチューブで知った。イーグルスのリズムギター担当で「テイクイットイージー」を歌っていたボーカルのグレン・フライも昨年逝去した。
ABBAは幸い、みんな健在だ。ぜひとも復活を願いたい。