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日本の消費者物価は算出法が変わって前年比で再びマイナスに、日銀の緩和が足りない?

久保田博幸金融アナリスト
(写真:cap10hk/イメージマート)

 8月20日に発表された7月の全国消費者物価指数は、総合で前年同月比マイナス0.3%、生鮮食品を除く総合で同マイナス0.2%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合で同マイナス0.6%となった。

 消費者物価指数の対象品目は産業構造や消費動向の変化に伴って、西暦年の末尾が0及び5の年に合わせて、5年ごとに基準年を更新する「基準改定」を行っている。今回がその基準変更にあたり、上記数値は2020年基準となった。

 今回の基準改定もあり、値下げが相次ぐ携帯電話料金の影響で指数が押し下げられた格好となった。

 新型コロナウイルス禍で低迷する需要も影響ともされているが、欧米の消費者物価指数に比べて大きな差が出ていることも確かである。

 たとえば米国の7月の消費者物価指数は総合で前年同月比プラス5.4%、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は同プラス4.3%となっていた。

 また、英国の7月の消費者物価指数は総合で前年同月比プラス2.0%。ユーロ圏の7月の消費者物価指数は前年同月比プラス2.2%となっていた。

 欧米の消費者物価指数は、主な中央銀行が目標としている2%はクリアーしていたが、日本についてはプラスにさえなっていない。それだけ日本はデフレ圧力が強いので、日銀がさらに金融緩和を進める必要があるのか。

 そもそも中央銀行の大胆な緩和策で、消費者物価指数を2%に誘導するということが果たして現実的なのか。さらに日本の消費者物価指数はその算出法によって数字が低く出やすいようになっているなどの技術的な要因も絡んでいないのか。

 金融政策がどうして物価上昇に結びつかないのかという検証については、「インフレ期待」とかだけで説明すべきものでもないと思うのだが。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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