1992年には746円、直近では623円…サラリーマンの昼食代の歴史的流れ
新生銀行発表の「サラリーマンのお小遣い調査」(※)によれば2022年のサラリーマンの昼食代は623円だったとのこと。過去の値はどのような状況だったのか。前世紀からの経年推移を確認する。
まずは全体的な昼食代(「サラリーマン」=男性会社員)の単純な推移を見ていくことにする。なお今件「昼食代」は、弁当を持参した場合はカウントされないことに注意する必要がある。
もっとも古い公開値の1979年は565円。バブル景気の余韻が残る1992年の746円を頂点とし、あとは漸減。今世紀に入ってから、特に2005年以降の下落ぶりは顕著で、2007年の金融危機ぼっ発直前までの小康状態時期に多少持ち直しを見せるも、その後は再び下落感を強めていた。1979年以降しばらくの間は消費者物価指数も上昇を続けており、その後はほぼ横ばいだった状況を考えれば、実質的な昼食購買力は(1979年と比べて)さらに落ち込んでいたことは間違いない。
一方この2013年以降はトレンド転換の気配を示し、特に2015年では久々に600円を超える値をつけた。2014年4月の消費税率引き上げに伴う食品群の値上げに連動した引上げ部分もあるが、単純な昼食代の上昇と物価上昇分とでは差が生じており(消費税率の引き上げ分を単純試算するとプラス2.86%、食料部門に限った消費者物価指数を勘案するとプラス3.68%となり、2014年の昼食代541円に上乗せすると561円で、2015年の実測値601円とは40円の差が生じる)、物価の上昇とは別に昼食への重点投入が成されていることが分かる。
直近の2022年では前年比で減少し623円。久々の600円台への回復を果たした2021年からは落ちたが、それでも600円台はキープする形となった。
未既婚別に見た動向は次の通り。
2012年ぐらいまではおおよそ未婚者の方が既婚者よりも高い値を示していたが、2013年以降はしばしば既婚者の方が高い値となり、トレンドの変化が生じたようだ。既婚者は育児費用などの負担が大きく、昼食代を値切られている可能性があるなど、低く抑えられる複数の理由が考えられるのだが。未婚者が実態として控えめになったのは、未婚者≒若年層≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。
直近2年間においては未婚者の方が高い値が出てしまっているが、未婚者が多くを占める20代において、イレギュラー的な高い値が出ているのが原因だと思われる。あるいは新型コロナウイルス流行による勤務体系の変化が影響しているのだろうか。
今調査の別項目の結果の上では、サラリーマンにおける昼食時間はこの数年ようやく回復基調を見せるものの、それまでは確実に減少を続けていた。生活リズム・スタイル全体がスピードを求められる時代になりつつあるのも一因だが、それとともに今件の金額面もあわせ、昼食時間のせわしさ、つつましさも加速しているようだ。
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※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2022年分は2022年4月11日から18日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2712人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料で多くを占める会社員は男性1252人・女性842人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て。未婚・既婚比は男性が41.8対58.2、女性は60.1対39.9。なお今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。
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