ムサコではなくコスギの【武蔵小杉・KITACOS】犬にも赤ちゃんにも優しいカフェが街の記憶をつなぐ
武蔵小杉の愛称はコスギ
いきなりですが、武蔵小杉を何と略すか、ということについては、私がこの街に住み始めた2006年頃から常に物議を醸しているトピックです。
「武蔵小杉」というのはJR(と東急)の駅の名前なのですが、実はこの「武蔵」がつく駅名は南武線で立川から川崎方面へ乗ってくると、武蔵小杉を含めて4つ、続くんですね。「武蔵溝の口」「武蔵新城」「武蔵中原」「武蔵小杉」という風にです。歴史を紐解けば、この辺りは「武蔵国(むさしのくに)」だったわけですから、JRさんが他の地方の既存駅とかぶらないように「武蔵」をつけたのでしょう。
住んでいる人にとってみては「武蔵」は「お仕着せ」のものという感があるのでしょうか、みなさん「ノクチ」「シンジョー」「ナカハラ」「コスギ」と呼び慣わしています。(ノクチは溝まで取れてますが、その方が語呂がいいんですね)。
ところが、再開発でマンションが立ち、街が注目され始めると、外部の人は「武蔵小杉」の駅の利便性にまず注目します。呼んでいるうちに長いので「ムサコ」と略します。すると他にも近くに「ムサコ」があったので(武蔵小金井、武蔵小山)「紛らわしい」と論争にします。
住人からしてみると「勝手に変なあだ名つけといて何だ」ということになりヒートアップ。正直どうでも良いっす、と思っていた私も、何年か住んだ後は「ムサコ」と都内の友人が言うのを聞くと「まあ、私の住んでるのはコスギなんだけどね」とやんわり言う側に回ってたり。(でも例えば九州など、遠いところの人にはそれでは伝わりませんね)。
多分に主観を含む論争なので、いまだに再燃してたりします。「愛称=コスギ」「通称/俗称=ムサコ」ってとこなのではないかと私は思っています。
前置きが長くなりましたが、コスギを扱うクリエイターとしてはこれを話しておかないとね!というわけで、今日はそんな「コスギ」の北側に新しくできた、新たなカルチャースポットを紹介します♪
KITACOSUGI STREET?
まず、トップ画像をみてくださいね。拡大してみます。
この看板を見た時に、私はむむっ!と思いました。「キタコスギ・ストリート」…。この道は私が武蔵小杉に越してきて初めて住んだマンションと駅をつなぐ道で、さらには引っ越した後も空太郎(愛息)の保育園の送り迎えに毎日通った道。そんな名前ではなかったはず…。
そして、新しくそこにできていたカフェの名前も「KITACOS(キタコス)」…!!
私は確信しましたよ。
ここを作った人は、ここをコスギと呼ぶ「小杉人」つまり地元の人に違いない!と。話を…話を聞こうか…ふつふつと湧き上がってくる熱い想像を胸に湛えてその看板を凝視している私はさしずめゴルゴ13ばりにいかつかったのでしょう。素敵なブランコのテラス席で可愛いミニチュアダックスとお茶をしていた紳士は去っていってしまいました…怪しくてすみません。
すると…
そんな私に「こんにちは!」と声をかけてくれた人が…。(天使!?)
このお店の店長・山﨑祐希さんでした。笑顔が素敵です!まさに天使!
「お店は1月24日にグランドオープンして、ようやく1ヶ月が経ったところです」とのこと。しかも、店長さんは元・舞台女優だそうです。わーい!同業者!ってことで共通の話でお喋りが弾んだのち、店内を案内していただきました。
最初に目に入ってきたのは…
充実のキッズスペース!これは、空太郎が赤ちゃんの頃なら毎日お世話になったかもしれない。
でも、それだけではありません。
こっち側はうって変わって大人っぽい雰囲気!2人がけにも4人がけにもなるテーブル席は、3つの個室に区切ることができます。そして奥には2つ目のディスプレイを発見。「フロンターレ戦がある日は、スポーツバーにもなります!」ですって。この至れり尽せりな感じ…!
そして極め付けには…
隠れ家仕様のボックス席まで!(エントランスの後ろに隠れるような場所にある)「こちらは、外からはあまり見えないので密談もオッケーです」なんて冗談めかしておっしゃってましたが…密談…誰としようw。
そしてなんと、こちらも可変のよう。
おお!大きくなりましたよ!これは楽しいですね!少し大きめの子供たちなら、こちらの席が良さそうです!空太郎と友達が一緒の時はここで決定かな。
「英会話スクールにも定期的にご利用いただいています」とのことです。カフェを利用して英会話、なんだかオシャレで良いですね。
フレンチとイタリアンで修行をしたシェフが腕を振るう
さて、メニューにまいりましょう。
こちらのお店の看板メニューは「ビーフストロガノフ」とのことです。カフェの定番といえばカレーですが、ビーフストロガノフとはちょっと凝っていますね。どうしてビーフストロガノフを看板にしたのでしょう?
「うちのオーナーの思い出の味なんです」と山﨑さん。このお店のオーナーである伊藤剛さんが子どもの頃に、お母さんが作ってくれた、その味を再現したとか。
トマト感が強めの爽やかなビーフストロガノフ、卵を絡めながら食べます。サワークリームが味を引き締めて、どことなくフレンチのような深い味わい。しつこくなくて、女性にもとても喜ばれそうな味!母親の愛情が、味覚を通じて受け継がれて、街の味となっていくなんて、とっても素敵だなあと思いました。
料理を作っているのは、こちらのシェフ・阪本悟さん。イタリアンでの経験が長く、ホテルのフレンチでも修行をしたということです。「オーナーの思い出の味を再現するのは難しかったけれど、今までの経験を活かして自分のアレンジも加えて試行錯誤して、オッケーが出ました」とのこと。
実はコスギ、新丸子エリアには実力派イケメンシェフが多いのですが、またひとり、すごい逸材が現れてしまいましたね。イタリアンでの経験を活かしたパスタ料理には特に定評あり!
パスタは一週間ごとに変わるそうです。お店のインスタなどで予告されるそうなので、フォローしてお目当てのパスタを逃さないようにしなきゃ!
店内でラトリエヒロワキサカのケーキが食べられる
スイーツは、同じエリアにあるパティスリー「ラトリエヒロワキサカ」のケーキを出しています。
オーナーの伊藤さんは「本来なら自分の味で勝負するべきなのかもしれないけれど、近くに本当に美味しい洋菓子店があるのだから、その味を広めたいと思ったし、地域の仲間と一緒にこの街を盛り上げていきたいという思いが強かった」と言います。
よくわかります、その気持ち。川崎経済新聞で取材をしていた時にも、そういうお店によく出合いました。ご自分が小さい頃からよく知っている地元にお店を出した方は、みなさんそういう思いを持っていらっしゃるんですね。
実際、こちらのケーキはとても美味しい。でもこういうスイーツって、家に買って帰ると日常感がでてしまってなんだかもったいなくなり、結局は誕生日などの特別な日しか買いに行かなくなっちゃう。でも、KITACOSなら、いつでもこの素敵な空間の中でこのご褒美デザートが食べられる。確かにこれはうれしいですね。
「キタコスギ」エリアと、「KITACOS」の文化づくりから目が離せない
このロゴを見てください。おしゃぶりが表す赤ちゃんや子どもたち、ワンちゃんの足跡、音楽、ビデオカメラは、街の記憶を表しているのでしょうか?つまり、つないでいくもの、というか。本当に、街の文化を創り、交流を生み、次世代へつないでいく場を作っていこうとしているなあ、とじんわり感動してしまいました。
このエリアは武蔵小杉の再開発エリアの中では北端に位置していて、昔ながらの住宅街と新しいマンションとが、手を取り合ってまちづくりをしていかなければならないエリアです。KITACOSの存在が、その双方が交流してともに成長していくための架け橋になるのかもしれないですね。これからの動きがとても楽しみです!
まだまだテイクアウトや、モーニングなど深掘りするとたくさんネタはあるのですが、長くなりすぎてもいけないので、今日はこの辺りで!(テイクアウトもモーニングもやってるので公式サイトなどチェックしてくださいね)。このお店の様子は、おなじみ川崎経済新聞でも、新店情報で扱わせていただく予定です。そちらもお楽しみに!
KITACOSさん、ありがとうございました!これからたくさん「キタコスギ」の街を盛り上げていきましょう!!みなさまもぜひ、足を運んでみてください!
KITACOS(キタコス)
住所:神奈川県川崎市中原区小杉町2-226-4
電話番号:044-712-5995
営業時間:9:00〜20:00(土日は10時〜)
公式HP:https://kitacos.com
アクセス:JR・東急東横線武蔵小杉駅より徒歩5分