【カワサキKLX230/Rメディア試乗会速報】安全圏の中でめいっぱい操って楽しめる!
カワサキの新型オフロードモデル「KLX230」とコース専用モデルの「KLX230R」のメディア向け試乗会が開催。走りのインプレッションを速報でお伝えしたい。
初中級向けだが装備は本格的
▲KLX230
KLX230は「誰もがオフロードを楽しめるライトウェイトスポーツ」をコンセプトとして誕生した。初中級レベルのライダーが性能を扱いきって楽しめることを目指したという。ストリートモデルのKLX230はオンもオフもいけるデュアルパーパスタイプで、大型ヘッドライトと快適なシート形状、オフロードに最適化したABSなどを装備。
▲KLX230R
一方、コース専用のRはより軽量化され、出力特性や前後サスペンション、タイヤなどがよりオフロードでのスポーツ走行に適した設定に変更されている。なお、最高出力19psを発揮する低中速トルク型の空冷4スト単気筒SOHC2バルブ232ccエンジンと、高張力鋼ペリメターフレームに前後21/18インチホイールを組み合わせた車体は基本的に共通となっている。
足着き良好、粘り強いエンジンがいい
まずKLX230から試乗してみた。見た目はかつてのKLX250の大柄な車体からは一転してコンパクト。モトクロッサーKXシリーズを思わせる最新のデザインが取り込まれている。シート高は885mmだが、実際に跨ってみるとたっぷりとストロークする前後サスペンションとスリムな車体のおかげで両足が踵までべったり着いた(身長179cm、体重73kg)。
セル一発でエンジン始動。クラッチミートもスムーズで、小気味よいパルス感とともに力強く発進する。砂利の急坂を下ってダートコースに入っていくが、エンブレがしっかり効いていて速度コントロールもしやすい。
続いて登りでゆっくりとアクセルを開けていくと、ブロックタイヤが粘り強く路面を掻いて進んでいく。けっこうな斜度だがエンストする気配もないのが安心だ。
操っている実感が楽しいリアルスポーツだ
ほどよく湿った土の周回コースではKLX230の楽しさを存分に堪能できた。普通にシートに座ってトコトコ走るのも平和で気持ちいいし、慣れてややペースを上げると俄然“操っている感”が出てくる。スタンディングでちょっとした段差をいなしたり、ローギヤでめいっぱい引っ張りつつ、後輪を少し滑らせながらコーナーを立ち上ったり思いのまま。すぐに息が上がって汗ばんでくる。まさにリアルスポーツだ。ビッグオフのように派手にリヤを滑らせたり、高いジャンプを飛ぶことはできないが、安全圏の中でめいっぱい遊べるところがいい。
オンロードも走ってみたが、見た目以上に車体はガッチリしていて特にフロントの接地感が高い印象。ブロックタイヤもオンロード対応なのでコーナーでもまったく不安はなかった。感心したのはデュアルパーパスABSで、通常、ブロックタイヤだとロックが急激なので躊躇してしまうが、これは前後ブレーキとも思い切りかけられる。
ちなみにオフロードでも踏み込んだ先でABSが作動するので、慣れてくるとブレーキターンにも持ち込めることが分かった。出力特性とギヤリングは街乗りやオフロードに合わせているのは明らかで、ピークパワー的にも高速クルーズを何とかこなせる程度だが、KLX230の狙いを考えるとそこは割り切りも必要かと。
違いは歴然、コースで楽しむなら「R」が最高
続いてKLX230Rに試乗。跨った瞬間、高さが違う。聞くところによると前後サスのストローク量が30mm程度長く、しかも高荷重設定。つまり、より本格的なオフロード仕様ということだ。車重も20kg近く軽い115kgということで違いは歴然。けっこうなガレ場でも強靭な足まわりと本格的なブロックタイヤが凸凹をいなしつつ飛ぶように走る。
アクセルレスポンスも鋭いので、よりスライドで向きを変えやすいし、ABSも付いていないのでブレーキターンもお手のものだ。コース専用で走ることを優先できるなら、「R」は最高に楽しい。KXはちょっと手に余すという人でも、これなら安心してオフトレの良き相棒になってくれるはず。もちろん、手練れであればその先にも踏み込めるポテンシャルを持ったマシンだ。