米国とドイツの急激な物価上昇には特殊要因も
29日に発表された米国の4~6月期実質GDP速報値は前期比年率で6.5%増となり、市場予想8.4%増を下回った。
サプライチェーンの制約などが経済全体に影響し、政府支出や住宅投資、在庫が伸びを抑制したものの、設備投資は伸び、さらに個人消費は前期比年率11.8%増加し、市場予想も上回っていた。
住宅投資がマイナスになっていたのは、木材などの価格高騰が影響した可能性があるとの指摘も。
同時に発表された食品とエネルギーを除くコアの個人消費支出(PCE)価格指数は、4~6月に前期比年率で6.1%上昇と、1983年以来の大きな伸びを記録していた。
29日にはドイツの消費者物価指数が発表された。ドイツ連邦統計庁が発表した7月の消費者物価指数は前年同月比で3.8%上昇となった。1年前に実施した付加価値減税の反動のほか、エネルギー価格の上昇が影響との指摘も。この上昇幅はドイツ統一後まもない1993年12月以来の水準となっていた。
ドイツは新型コロナウイルス対策として2020年7月から12月まで、日本の消費税にあたる付加価値税の税率を引き下げた。2021年1月に元の税率に戻したため、前年比でみた物価は21年7月から大きく押し上げられることになった(29日付日経新聞)。
やや特殊要因も働いていたことでの物価上昇との見方も強いが、それでも今後もECBなどの物価目標となる2%を超えて推移してくる可能性はある。
今年の4~6月期の欧米での物価上昇がやや異常数値となったのか。少なくともドイツでは付加価値税の影響もあって7月も高い物価上昇を示したが、7月以降の数値も見極める必要がある。それに対して日本の消費者物価指数がかろうじてプラスという状況はどのように説明されるのであろうか。