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日本史上最悪のクマ被害、三毛別村の悲劇

華盛頓Webライター
credit:Unsplash

クマによる被害はしばしば報告されており、中には死者が出ることもあります。

そのような中でも群を抜いて甚大な被害を出したのが、大正時代に北海道にて発生した三毛別羆事件です。

今回は日本史上最悪のクマ被害、三毛別羆事件について紹介していきます。

ヒグマ襲撃事件の恐怖!六線沢集落の悲劇

1915年(大正4年)11月初旬、北海道のルペシュペナイ川上流域にある開拓集落六線沢で、池田富蔵家にヒグマが現れ、軒下のトウキビが被害に遭いました。

20日未明にも再びクマが現れましたが、被害はなかったのです。

しかし、富蔵はクマの脅威を感じ、何か対策を打たねばと不安を募らせていました。

30日、富蔵はマタギ二人に張り込みを頼みましたが、ヒグマを捕らえられず、傷を負わせただけで取り逃がしたのです。

そんな中12月9日、太田三郎家に残っていた内縁の妻と養子に迎える予定だった少年がヒグマに襲われました。

これは一連の襲撃事件の最初の襲撃だったのです。

三郎が帰宅すると、囲炉裏に座っている少年を見つけましたが、近づくと彼の喉と側頭部に親指大の穴が開き、すでに息絶えていたのです。

さらに、ヒグマは妻の体をくわえながら屋外に出たと見られ、窓枠には妻の頭髪が絡みついていたのです。

日没が迫る中、住民たちは打つ手がありませんでした。

翌日の12月10日、捜索隊が結成され、クマを発見しましたが、銃の手入れが行き届いておらず、発砲できたのはわずか1丁だけでした。

銃声に驚いてヒグマがその場所を去った後、捜索隊がその場所を確認すると、トドマツの根元に妻の遺体が見つかったのです。

ヒグマは人間の肉の味を覚え、遺体を保存食にするため雪に隠そうとしていました。

同日夜、太田家で通夜が行われましたが、ヒグマの襲来におびえ、参列者は少数でした。

そんな中ヒグマが通夜に乱入し、棺桶が倒され、恐怖に駆られた会葬者たちは大混乱となったのです。

太田家から姿を消したヒグマは、すぐに明景家に侵入しました。

激しい物音と共に窓を突き破り、黒い塊が現れたのです。

混乱の中で囲炉裏とランプの火が消え、ヒグマは暗闇の中で次々と人々を襲いました。

結果、この夜の襲撃で5人が殺害され、3人が重傷を負ったのです。

六線沢の住民は三毛別分教場へ避難し、村は恐怖と悲しみに包まれました。

ヒグマとの最終決戦

credit:pixabay
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12月12日、通報を受けた北海道庁警察部は、羽幌分署長にヒグマを討伐するための組織の結成を指示しました。

本部は三毛別地区長の自宅に設置されましたが、ヒグマを発見することは容易ではなかったのです。

そこで警察は獲物を取り戻そうとするヒグマの習性を利用して、犠牲者の遺体を「餌」としてヒグマをおびき寄せる策を実行しました。

この作戦はすぐに実行されましたが、ヒグマは家の周囲を巡るだけで警戒し、森に引き返してしまったのです。

その後も太田宅に侵入を企てましたが、射殺には至りませんでした。

13日、歩兵第28連隊の将兵30名が出動しました。この日は六線沢の8軒にヒグマが侵入しましたが、先述したように全員避難していたため人的被害はありませんでした。

なお猟師の山本兵吉が1軒にヒグマが侵入するのを目撃しましたが、射殺には至らなかったのです。

午後8時ごろ、三毛別と六線沢の境界にある氷橋(現在の射止橋)で警備に就いていた一人が、不審な影を発見しました

警備員はそれがヒグマだと判断し、撃ち手が銃を放つと、その影は動き出し、闇に紛れて姿を消したのです

翌朝、熊に傷を負わせた痕跡が見つかりました。

一方で、前日にヒグマの姿を目撃していた山本は討伐隊とは別行動で山に入ったのです。

山本は討伐隊より先にヒグマを発見し、20mという至近距離まで接近しました。

ハルニレの樹に身を隠し、背後から発砲し、ヒグマの心臓付近に命中させたのです。

しかし、ヒグマは怯むことなく立ち上がり、山本を睨みつけました。

第二弾を装填した山本はヒグマの頭部を撃ち抜き、ついにヒグマは絶命したのです。

午前10時、一連の事件を引き起こしたヒグマは倒れ、事件は終息しました。

12日からの3日間で、官民合わせて延べ600人以上の討伐隊員が投入され、ました。

ヒグマの死骸は住民たちによってソリで下され、その途中で激しい吹雪に見舞われたのです。

その後集ヒグマは三毛別の分教場で解体され、ヒグマの胃から人肉や衣服が発見されました

三毛別羆事件は、北海道の歴史に刻まれ、今も語り継がれています。

Webライター

華盛頓です。以前の大学では経済史と経済学史を学んでおり、現在は別の大学で考古学と西洋史を学んでいます。面白くてわかりやすい記事を執筆していきます。

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