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芸人、漫画家、CМプランナー。様々な顔を持つ「グランジ」五明拓弥だからこそ感じるお笑いの底力

中西正男芸能記者
2冊目の漫画を発売された「グランジ」の五明拓弥さん

 お笑いトリオ「グランジ」として活動しつつ、CМプランナー、漫画家の顔も持つ五明拓弥さん(43)。8月に2冊目の漫画「カーシェアグルメドライブ~車を買えない大人の至福の6時間~」も発売されました。多角的に活動するからこそ感じるお笑いの力。そして、見据える未来について胸の内を吐露しました。

いろいろな「面白い」

 ありがたいことに8月末に2冊目のコミックスを出しました。

 39歳で免許合宿に行って運転免許を取る中で、いかに東京で車を持って生活するかが大変かを痛感しまして。そこで思ったことをもとに描いたのが1冊目。今回はカーシェアの車で美味しいものを食べに行くという中で感じたことを描きました。

 今のところ「面白い」という声を多く言っていただいているので、ホッと胸をなでおろしています。ま、面と向かって「面白くない」と言う人もなかなかいないとは思いますけど(笑)。

 漫画を描くこともですし、CМを作るお仕事もさせてもらってきました。

 「グランジ」のメンバーの遠山がラジオ番組をしていて、その流れでラジオCМを考えるコンテストに応募することになったんです。ありがたいことにそこで賞をいただきまして。きっかけになった遠山は一切賞を取らず、僕だけがその後もいろいろな賞をいただいて…。そしてなんだかんだで今に至るという皮肉な流れにもなっています(笑)。

 こちらもね、当然、本当にありがたいことだと思っています。結果的に、お笑い、CМ、漫画と3つのお仕事をさせてもらうことになりました。

 ただ、僕にとって、この3つの根っこは同じなんです。違うことをやっている意識は全くなくて。高校を卒業して18歳で吉本興業に入ってお笑いをやってきました。そこで培ってきた脳みそで、広告も、漫画もやっています。

 基本は何も変わらなくて。それがネタのなのか、広告なのか、漫画なのかという最後の出し方の違いだけなんです。

 いろいろな仕事をさせてもらう中で、いかに「面白い」という概念が幅広いのか。それを痛感しています。お笑いも、CМも、漫画も、全部「面白い」ということを感じてもらうように作っているんですけど、コントをやる時にはとにかく笑ってもらう。そこに行きつくようにということだけを考えて作ります。これは一番分かりやすいというか、面白さを全部笑いに変えていく。そんな流れです。

 CМでいうと、僕の場合はラジオでのCМが多いんですけど、こちらは耳に引っかかるような面白さ。音だけの世界なので、言葉を畳みかけるようなことをあえてやってみたり、逆に放送事故すれすれくらいまで間を開けてみたり。もしくは、設定の妙でひきつけたり。そういう状況を生かした構造の面白さ。そこを心掛けています。

 漫画では、背中を押すまではいかないかもしれませんけど、読んでくださる方がじんわり楽になる、ホッとする、ほんのり幸せになる。そういう共感も含めた面白さを大事にしています。

お笑いの力

 そして、繰り返しになりますけど、そういったものを作る根本は芸人として培ってきた脳みそなんです。僕らはトリオとしてはほとんど活動していないんですけど、それがそれぞれの仕事にしっかり役立っている。お笑いのすごみと深さを改めて感じもしますし、そうやって3人が蓄えたものをトリオとして爆発させる。それもまた今後、意義のあることなのかなとも思っています。

 そのあたりはこの先の目標になるのかもしれませんけど、近いところで目指しているのが2冊目の漫画の印税でなんとか念願のマイカーが買えないかということです(笑)。理想としては古い車、旧車が好きなのでそれが買えればなと。

 旧車は味わいはあるんですけど、実際には故障も多い。なので、頑張って旧車を買ってみたものの故障の多さに振り回される。そんな経験をもとに、3冊目の漫画が出せればな…とも考えています(笑)。捕らぬ狸の皮算用ばかりじゃダメなんですけど、なんとか一つずつでも前に進んでいけるよう、積み重ねをしていきたいと思っています。

(撮影・中西正男)

■五明拓弥(ごめい・たくや)

1981年8月24日。千葉県出身。吉本興業所属。NSC東京校6期生。遠山大輔、大と2005年にお笑いトリオ「グランジ」を結成。16年からラジオCMの制作を手掛け、同年にTCC新人賞を受賞。17年には「第60回日本雑誌広告賞」の審査員も務める。18年に結婚を発表。22年、漫画「39歳の免許合宿〜ストーリーは自分で創れ〜」(ワニブックス)を発売。今年8月28日に漫画「カーシェアグルメドライブ ~車を買えない大人の至福の6時間~」が発売された。身長189センチ。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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