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就学援助 利用できる方はぜひ申請を

大西連認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長
写真はイメージです(写真:アフロ)

4月は子どもの入学や進学のシーズンです。

入学式や始業式に向かう子どもたちを街で多く見かけます。

コロナ禍が続いていますが、新たな門出に幸あれ、と心から思います。

2020年はコロナ禍に見舞われました(まだ現在進行形ですが)。

失業したり、収入が減少した方が多くいます。それは子育てをしている家庭でも同様です。

お子さんがいる家庭で、失業や収入の減少により、習い事や塾をやめることになったり、進学先を変更せざるを得なかった、などの状況もあります。

そんななかで、何とかこの1年、踏ん張ってこられた方が多いのではないかと思います。

ですので、活用できる支援制度は遠慮せずに申請してほしいです。

今日は小中学校でかかる費用についての支援制度である「就学援助」について紹介します。

また、「就学援助」以外にも、政府も様々な支援策を講じています。ぜひ遠慮なく活用ください。

以下は年明けに書いた制度情報についてまとめた記事です。参考までに。

2度目の緊急事態宣言 生活が苦しくなったら公的支援や窓口の活用を!(大西連) - Y!ニュース

■就学援助を知っていますか?

「就学援助」は、小学校、中学校でかかる費用についての支援制度です。

具体的には、給食費や教科書代、制服代に修学旅行費などについて、実費もしくは一定額の支給を受けることができます。

対象となるのは下記の状況の方です。

・現在、生活保護を利用している方(要保護)

・生活保護は利用していないが、これに準ずると教育委員会が認める方(準要保護)

この「準要保護」の基準となる金額は、各市町村で違います。

例えば、同じ都内でも、新宿区では「父・母・小学生1人」の3人世帯で基準金額は約357万円ですが、練馬区では「父(39歳)・母(39歳)・子(9歳)」の3人世帯で基準金額は約319万円となっています。

2020年度の所得がこの基準金額を下回る場合に、この「就学援助」の制度を利用できます。

自治体によって基準となる金額はかなり異なるので、ご自身が該当するかどうか、ぜひ確認してみてください。

また、申請受付の期日も自治体によって違います。合わせてご確認ください。

■「就学援助」をあらたに利用できる方も

特に、コロナ禍で収入が減った、などの状況の場合、今までは「就学援助」の対象となっていなかった家庭でも、利用できるようになっている可能性もあります。

そして、「就学援助」を利用していることは、同級生やその保護者に知られることは基本的にありません。

ですので、ぜひ遠慮なく申請してもらいたいなと思います。

文科省の就学援助実施状況等調査によれば、2019年度で「就学援助」を利用している方は全国で134万4916人にのぼり、これは児童全体の14.53%です。すでに多くの子どもが「就学援助」を利用しています。

一方で、「就学援助」の制度自体の周知についてはまだまだ不十分な自治体もあります。

上記の文科省の調査では、2019年度で「学校から希望者に対して申請書を配布」した自治体が56%(989市町村)で、「教育委員会から希望者に申請書を配布」40.5%(716市町村)となっています。

「就学援助」の制度自体を知らなかったり、自分が該当すると思わなかったら「希望」できないわけなので、必要な方に制度が届いていない可能性もあります。

特に、コロナ禍ではじめて該当する所得水準になってしまった方には、積極的に情報を伝えていく必要があると思います。

自治体ごとに、周知に向けた工夫をしているところもあると思いますが、多くの方にこの情報を伝えていただきたいと思います。

■必要な方が「就学援助」を利用できるために

入学式や始業式のあとに「就学援助についてのお知らせ」が配布される場合はそれを確認し、配布されていない場合は、学校や自治体に問い合わせていただければと思います。

また、お知り合いの家庭で「就学援助」を利用できる所得の状況では、という方がいたら、ぜひ、この情報をお伝えいただければと思います。

コロナ禍の終息のめどはまだ立ちません。必要な方に支援が届くように、社会全体で支え合っていくことが必要です。

認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい 理事長

1987年東京生まれ。認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい理事長。新宿での炊き出し・夜回りなどのホームレス支援活動から始まり、主に生活困窮された方への相談支援に携わっています。また、生活保護や社会保障削減などの問題について、現場からの声を発信したり、政策提言しています。主著に『すぐそばにある貧困」』(2015年ポプラ社)。

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