テレビを見るのは主に朝昼夕食時(2021年公開版)
テレビは利用ハードルが低く多様な情報を取得可能なメディアとして、前世紀から多くの人に重宝され愛された存在であることは誰にも疑う余地はない。それではテレビが多くの人に見られているのはどのような時間帯だろうか。NHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書をベースに、その実情を確認する。
テレビを見る人の割合(テレビ行為者率)は最新の調査でも8割近くに達している。もっとも、今回データが公開された1995年の調査以降は少しずつだが減少する動きを見せている。
一方でテレビをよく見る高齢者そのものの増加や、その高齢者のテレビ視聴時間の増加により、全体としての(テレビ未行為者をゼロ時間とした上での、各属性の全体平均による)テレビ視聴時間は、横ばい、一部では増加の動きすら見受けられた。他方2015年以降は減少傾向に転じている。
それではテレビはどのような時間帯によく見られているのか。それを全員における平均行為者率の推移で見たのが次のグラフ。一挙に平日・土曜・日曜について挙げてみよう。比較がし易いよう、縦軸の区分はすべて統一する。
これらのグラフはそれぞれの時間区分で、テレビを見ている人が何%いるかを意味している。例えば平日の21時(20時30分~21時の30分間)ではテレビを見ている人は35.5%となる。
すべての曜日で共通しているのは、朝昼夜(夕)の3回ピークが確認でき、夜のピークが一番大きな値を示していること。これは多くの人が食事の際、あるいは直後にテレビを視聴する生活様式で過ごしているからに他ならない。そして夜の時間帯がもっとも多いのは、朝食・昼食時は無理でも、夕食ならば家族一緒に食事をして、その後テレビを見ることが容易なため。さらに朝や昼と異なり、比較的余裕が持てる時間帯でもあるのも大きな要因。
また、平日、土曜、日曜の順に、朝食から昼食の合間、昼食から夕食の合間の時間におけるテレビ行為者率が大きくなるようすがうかがえる。休みの日は食事中や夕食後の団らん以外の時間帯でもテレビを点けたままにしている世帯が少なからずいるようだ。
平日、土曜、日曜のテレビ視聴リズムを比較するため、これらのグラフを折れ線グラフ化し、一つにまとめたのが次の図。
一つにまとめて比較すると、曜日を問わず朝昼夕食のピークが生じているのがしっかりと把握できる。
さらに全般的には平日よりも土曜、土曜よりも日曜の方がテレビを見ている人は多いが、夕食を食べ、団らん時間の後はほぼ同率、むしろ日曜の方が平均行為者率は低下する。これは翌日からまた仕事の一週間が始まるのに備え、あるいは日中テレビを見続けていたことから疲れており、早めに床に就く傾向が表れているのではないかと思われる。
実際、睡眠の行為者率動向を見ると、日曜は平日や土曜日と比べて早い時間に高い値を示す動きを見せている。要は日曜は平日や土曜と比べ、早めに寝る人が多い次第である。
テレビと食事が切っても切れない関係にあることや、いわゆるゴールデンタイム(19時~22時)の優位性などが、改めて認識できよう。
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※2020年国民生活時間調査
住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。