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片付けは最も安く手に入る自己肯定感。自分のための先行投資として始めよう。

「面倒くさい、後でやろう」と、ついつい先延ばしにされてしまう片付け。
毎日の仕事や目の前の家事・育児に比べて、片づけの優先順位がそれほど上がらないのはなぜでしょう?

「片づけ」は3つの行為から成り立ちます。

  1. 整理=モノの意味を定義すること
  2. 収納=モノに適切な定位置を与えること
  3. 整頓=出したモノをもとに戻すこと

3つ目の「整頓」は、「人が来るから片付けなきゃ!」など、緊急性・重要性を帯びているため、意識せずとも取り組まれやすいものです。
一方で「整理」・「収納」は、必要に迫られる機会は少なく、意志を持って取り組む必要があるもの。「習い事」「筋トレ」「資格試験の勉強」と同じように、すぐに結果に結びつかないでしょう。家全体を片づけるのに必要な時間は20-30時間。ちょうど運転免許試験の学科教習と同じくらいの所要時間です。 

その意味で、新しい習い事を始めるつもりで、20時間程度のスケジュールを確保することが、片づけを成功させるカギとなります。

整理・収納に時間をかけて向き合えば、その後のルーティンである整頓の負荷は驚くほど下がり、掃除の効率も上がります。整理と収納はいわば、将来の暮らしをよりよくする先行投資的な位置付けといえるでしょう。

片づいていなくても生活はできますし、掃除が行き届いていなくても子どもは育ちます。しかし「自己肯定感」を高めるには、片づけはうってつけの手段です。

大半の消費の目的は、自己肯定感を高めること。カフェで飲み物を買うのも、ネイルを整えるのも、ブランド品を買うのも、「自分が好きな自分でいるための投資」として行う消費活動です。しかし片づけは、お金をかけず、QOL(生活の質、Quality Of Life)を高めてくれます。朝起きてから寝るまで、テレワークをすれば1日12時間以上にわたって視野に入り続ける空間が、スッキリしているか、不要なモノであふれているかで、自己肯定感は大きく左右されるでしょう。

1週間、1カ月、1年暮らす部屋があなたの人生を変えてくれるのです。外に出て自分磨きも良いですが、部屋にこもって行う片づけという名の自己研さんもまた、その後の人生に大きな意味を持つ先行投資となるのです。

【米田まりな】1991年生まれ。整理収納アドバイザー1級。モノを愛してやまない人に向けた「捨てない片づけ」を考案。著書に「あの人に、イライラするのは部屋のせい」「集中できないのは部屋のせい」(PHP研究所)「捨てない片づけ」(ディスカバー21)。日経新聞NIKKEIプラスワンにて連載中。東京大学経済学部を2014年に卒業後、総合商社でベンチャー投資を担当し、現在は不動産ディベロッパーに勤務。平日は会社員として働きながら、副業で片付けの普及活動をしている。

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