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【土浦市】今昔さんぽ②土浦駅は常磐線だけじゃない!?幻の鉄道・常南電車と風光明媚な観光列車・筑波鉄道

コイケケイコ土浦在住ライター(土浦市)

土浦駅といえばJR常磐線の駅ですが、かつてはそれ以外の鉄道も乗り入れていたのをご存じでしょうか。土浦から水戸線・岩瀬駅を結ぶ筑波鉄道、そしてわずか10余年で廃線となり「幻」といわれる常南電気鉄道がありました。

※上の写真は、遊覧交通案内『土浦商工会誌』(土浦市立博物館)より引用しています

走る姿を間近に臨める、人気の鉄道スポット

土浦駅西口から桜川に向かって歩くこと約5分。

桜川の鉄橋付近へとたどり着きました。ここは、常磐線の列車が往来する姿を間近に臨めることで鉄道ファンに人気のスポットで、各駅停車の列車や、タイミングがあえば特急の走る姿を楽しむことも。

桜の季節になると川の両側が淡いピンク色に染まる、絶景スポットでもあります。

「かつてはこの鉄橋の隣を常南電車と呼ばれた常南電気鉄道も走っていたんですよ」と教えてくれたのは、土浦市立博物館の学芸員・野田礼子さん。

今回の土浦新市街地の今昔を解説してくれる案内人です。

わずか10余年で幕を閉じた幻の路面電車・常南電気鉄道

引用『むかしの写真土浦』(土浦市立博物館)
引用『むかしの写真土浦』(土浦市立博物館)

時計の針を大正時代まで戻してみると、桜川の鉄橋を小さな電車がわたる姿があります。これが常南電気鉄道(通称:常南電車)。

土浦と阿見の間を走っていた路面電車です。

大正10年(1921)に阿見電気軌道が設立され、大正12年(1923)には常南電気株式会社に。大正15年(1926)に電車は開業しました。

引用『むかしの写真土浦』(土浦市立博物館)
引用『むかしの写真土浦』(土浦市立博物館)

上の写真は、富士崎町内を走る常南電車の姿。開業当時は、根崎(現在の富士崎町)―小松―三夜下―変電所前―大岩田―法泉寺前―柿ノ木橋―青宿―阿見に停車駅がありました。

根崎駅から常磐線の土浦駅へは、桜川を渡り徒歩約10分という不便な立地であったため、桜川に鉄橋を架けて根崎駅と土浦駅前が結ばれるようになります。

「土浦駅前」という停車駅は、土浦駅の手前。現在は駐車場や駐輪場に。

工事中の常南電気鉄道の桜川鉄橋。昭和3年に土浦駅に乗り入れとなった(引用『むかしの写真土浦』(土浦市立博物館))
工事中の常南電気鉄道の桜川鉄橋。昭和3年に土浦駅に乗り入れとなった(引用『むかしの写真土浦』(土浦市立博物館))

土浦駅には現在も「筑波鉄道」の名残が

1985年に撮影された土浦駅1番線に乗り入れる筑波鉄道の様子(写真協力/red50keiさん)
1985年に撮影された土浦駅1番線に乗り入れる筑波鉄道の様子(写真協力/red50keiさん)

土浦駅を起点にしていた鉄道には「筑波鉄道」もあります。土浦―岩瀬間を結ぶ筑波鉄道は、大正7年(1918)に開業し、昭和62年(1987)まで沿線の住民の足として利用されていました。

筑波鉄道の路線図(引用「追憶の筑波鉄道~鉄道~自転車道へ~」(真壁伝承館歴史資料館)」
筑波鉄道の路線図(引用「追憶の筑波鉄道~鉄道~自転車道へ~」(真壁伝承館歴史資料館)」

筑波鉄道は、その名の通り、筑波山の麓をぐるりと回るように走る電車で、車窓に映し出される季節の情景も楽しみの一つだったといいます。

全部で20駅ある中で、土浦市内には、土浦駅、真鍋駅(後の新土浦駅)、虫掛駅、坂田駅、常陸藤沢駅、田土部駅の6つの停車駅がありました。

最後の営業日となった昭和62年3月31日は、奇しくも国鉄民営化の前日でもありました。

惜しまれつつもひっそりと69年の歴史に幕を閉じた筑波鉄道ですが、土浦駅の1番線のはずれ辺りには、筑波鉄道のレールの一部が今も残されています。

筑波鉄道の線路敷地は茨城県が買収して、大規模な自転車道(サイクリングロード)の整備が進められています。

筑波山を巡る鉄道から、霞ヶ浦もあわせて自転車で巡ることのできる「つくば霞ヶ浦りんりんロード」の一部へと生まれ変わり、全長約180キロにも及ぶ日本最長の自転車道に。

世界にも誇ることのできる「ナショナルサイクルルート」にも指定され、たくさんの自転車愛好家に親しまれています。

土浦在住ライター(土浦市)

土浦市在住のフリーランスの編集・ライター。海外・国内の旅行関連のガイドブックや書籍制作をはじめ、ブライダル情報誌の編集にも携わる。食べること・飲むことが好きで、趣味が興じて最近では食を中心にWEB、紙媒体などで取材執筆活動中。地元土浦の飲食パトロール、歴史やカルチャー学習も積極的に行っています。

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