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日銀短観は7四半期ぶりの悪化

久保田博幸金融アナリスト
(写真:つのだよしお/アフロ)

 日銀が1日に発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の業況判断指数(DI)は3ポイント悪化のプラス14に。悪化は2020年6月調査以来、7四半期ぶりとなる。先行きはプラス9で、さらなる悪化を見込む。

 大企業非製造業の業況判断指数(DI)は1ポイント悪化のプラス9に。先行きはプラス7と、さらなる悪化を見込む。

 中堅企業、中小企業も同様に足下は前回から悪化し、先行きもさらなる悪化を見込んでいる。

 今回の短観で景気判断の悪化が目立つのは、大企業・製造業では「紙・パルプ」の14ポイント悪化、「窯業・土石製品」の9ポイントの悪化、そして「食料品」と「自動車」の7ポイントの悪化。

 いずれも原油や穀物など原材料価格の上昇を受け、収益が圧迫されていることが主な要因となっている。

 大企業の非製造業では遊園地やスポーツクラブなどの「対個人サービス」が前回から12ポイントの悪化、ホテルや居酒屋などの「宿泊・飲食サービス」も5ポイント悪化に。ただし、「対個人サービス」と「宿泊・飲食サービス」の先行きは改善を見込んでいる。新型コロナウイルスの感染による影響を受けやすいともいえる。

 大企業製造業の業況判断指数(DI)をみると昨年9月から12月でいったんピークアウトした格好となっている。

 日経平均株価をみても9月にピークをつけて調整局面入りした。しかし、3月でいったんボトムをつけている。

 今回の短観では先行きもさらなる悪化を見込んでいるが、日経平均の戻り歩調からみると、それほどの悪化幅とはならない可能性もある。

 日銀短観と日経平均の連動性はあくまでピークとボトムを判断するには適切なことが多いが、完全に連動している訳ではない点にも注意が必要か。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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