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裁判を前に、松本人志さんのコメントから読み取れるものと今後

中西正男芸能記者
(写真:アフロ)

「週刊文春」の報道で名誉を毀損されたとして松本人志さんが発行元の文藝春秋と週刊文春編集長に約5億5千万円の慰謝料などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が明日開かれます。

それに先立ち、25日に弁護士さんを通じて松本さんのコメントが出されました。

この件はあくまでも松本さん個人がやっていることで、所属の吉本興業と連動しているものではない。幾度となく、関係者から聞いてきた言葉でしたが、実際にコメントが弁護士さんサイドから出ていることを見て、改めてその構図を再認識しました。

そして、これまで個人的に発信してきたXでのポストなどとは違い、周囲の人と推敲を重ねた文章だとも感じました。

人を笑わせることを志してきました。

たくさんの人が自分の事で笑えなくなり、

何ひとつ罪の無い後輩達が巻き込まれ、

自分の主張はかき消され受け入れられない不条理に、ただただ困惑し、悔しく悲しいです。

世間に真実が伝わり、一日も早く、

お笑いがしたいです。

ダウンタウン松本人志

裁判に注力するために休む。自分が選んだ方法とはいえ、お笑いができなくなっているつらさ。

後輩芸人に迷惑をかけてしまっている心苦しさ。

自らの思いとは違う形に話が広がっていく悲しさ。

そういったものが込められた文面となっています。ただ、このコメントには明確にないものがあります。謝罪です。

無論「謝罪をしろ」「謝罪が必要だ」なんてことを綴る気はありません。それは本人が判断すればいいことです。ただ、これだけ練り上げられたコメントに「ごめんなさい」の要素がない。ここに松本さんの強い意志が表れていると感じます。

そもそも、裁判という選択肢をとったこと。仕事を休むこと。5億5000万円という大きなお金を求めたこと。

そこには「こんな“書き得”“書かれ損”みたいなことが続いていて良いわけがない」という強い憤りがある。休むことを発表した1月上旬の時点で複数の関係者から聞いていたことですが、2カ月半ほど経ってもなお、しっかりとその思いがあることを静かな文面から感じることにもなりました。

今回の週刊文春の報道のみならず、以前からいろいろな記事が出ることへの怒りがあった。だから、休んでまで徹底的にやる。中途半端な戦いではなく、完全決着までやる。そんな強い意志があってこそ始まった流れだとも聞きますが、コメントの最後には別の思いがあふれていると痛感しました。

「松本人志」ではなく「ダウンタウン松本人志」として締めくくる。

何があろうが、あくまでも自分は芸人であり、戻るべき場所は「ダウンタウン」。日本中から注目されることが分かっている文章の末尾に「ダウンタウン」の文字を入れる意味はとてつもなく大きなものです。

明日から裁判が始まります。互いが証拠というカードを切りあう中で、刺激的な話が出てくる可能性もあります。何年後に裁判が終わるのかも分かりません。

そして、その段階で松本さんにどれだけ仕事があるのか。これも誰にも分かりません。その時の風向きや世の中の温度によって、仕事は左右されるものです。

ただ、どんな風が吹こうが、コンビはコンビ。流れに左右されるものではない。そして、コンビである以上、芸人でもあり続ける。

その味が決して長くはないコメントからにじみ出ている。そんな気がしてなりません。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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