「リトアニアのアンネ・フランク」ホロコーストの犠牲者マチルダ氏の墓をデジタル技術で発見
第2次大戦時にナチスに支配されたリトアニアでも多くのユダヤ人が迫害され、虐殺された。日本人にとっては杉原千畝氏が外交官としていた国としても有名だ。戦前のリトアニアにはユダヤ人が多く住んでおり、特にビリニュスには6万人のユダヤ人が住み「北のエルサレム」と呼ばれ、イディッシュ文化の中心地だった。だがホロコーストでほとんどが破壊された。
「リトアニアのアンネ・フランク」19歳で殺害されたマチルダ
2018年7月に米国デュケイン大学ら国際調査チームがデジタル技術を活用して、ホロコースト当時に殺害されたマチルダ・オルキン氏の墓場を発見したことを発表した。マチルダは家族とともに1941年にロキシュキス市でナチスの手先となっていたリトアニア憲兵らに殺害された。マチルダは殺害された時は19歳の女子大学生だった。彼女はホロコースト迫害時の生活や当時の様子、思いを日記に記していたため「リトアニアのアンネ・フランク」とも言われている。
墓を掘り返すことを禁じられているユダヤ人
デュケイン大学の自然科学研究科長のReeder氏らはGPSが搭載された地中レーダー探査を活用して当時のロキシュキス市の地図にマッピングしながら、マチルダと家族の殺害され埋められた場所の探索を行い、ロキシュキス近郊の森の近くに埋められていたことを発見した。
「ホロコーストという大量殺害の現場で、発掘作業しないでマチルダの埋められた場所を特定することが今回の調査で一番難しいことだった。ユダヤ人は人が埋められている場所や墓を掘り返すことを禁じている。ホロコーストでは何百万人の人々が犠牲になっており、彼らへの敬意を払うためにも、土を掘り起こすことはしたくなかった。そのため過去の資料や証言、地図と照らし合わせて、デジタル技術を活用し、土を掘り返さなくとも表面から発見することができた」とReeder氏は述べている。