「日本の経済状態は良好」全体では44%だが、属性別では違いがどれほどあるのだろうか
日本の経済状態は良好だと考えている人の割合は、男女別や年齢階層別などでどれほどの違いがあるのか。それも含め経済的な観点での考え方に関する実情を、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査「Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future」(※)の結果報告書を基に確認する。
今調査によれば日本の経済状態が良好だと考えている人は、2018年時点で44%。金融危機勃発を機会に大きく下がり、低迷。2013年以降は持ち直しを示している。
この「日本の経済状態は良好」との問いに同意できる人の割合を属性別に確認したのが次のグラフ。
男女別では男性の方が圧倒的に多い。女性の方が家計に携わる人が多いのに加え、報道メディアが伝える扇動的な否定情報を見聞きする機会が多く鵜呑みにしてしまいがちなのが要因の一つとして考えられる。年齢階層別ではきれいな形で高年齢の方が多く、学歴別では高学歴の方が多い結果が出ている。
興味深いのは世帯年収別。世帯年収による差異は、少なくとも今調査項目に限れば無い。
続いて将来の個人ベースでの経済状態の見通し。
全体でも同意率は15%でしかないが、これが女性では13パーセントにまで減る。年齢階層別では若年層の方が期待を持っているようだ。こちらも世帯年収別の差異がほとんど見られないのが注目に値する。
最後は個人におけるお財布事情が昔と比べてよくなっているか否か。
全体では26%だが男性は30%、女性は22%と、やはり男性の方が高い値を示している。年齢階層別では法則性のようなものは無く、学歴別では高学歴の方が値は低い。世帯年収別ではわずかに高世帯年収の方が多いが、誤差の範囲。
全体的な属性別傾向としては、世帯年収別での差異がほとんど無かったのは注目に値する。また、男女別で女性の方が押しなべて値が低い件について、今調査の結果だけでは(報告書内の解説文も併せ)特定できないものの、複数の理由の可能性が考えられる。家計をあずかる立場にいる人が多いので国や社会全体よりも自分自身の家計におけるお金のやりくりを中心に考えてしまう、報道メディアの悲観的な情報に触れる機会が多いなどである。もう少し細かい調査があればよいのだが。
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※Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future
直近年分の調査は2018年5月24日から6月19日にかけて、RDD(固定電話40%、携帯電話60%)で選択された18歳以上の日本在住の人に対し、通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1016人。国勢調査の結果を基にウェイトバックがかけられている。なお過去の調査も同様の条件で実施されている。
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